長期抗ウイルス治療で帯状疱疹の痛みと再発リスクを軽減

長期抗ウイルス治療で帯状疱疹の痛みと再発リスクを軽減

サイエンス出版部 発行書籍

帯状疱疹による目の炎症や感染症を抑える長期低用量抗ウイルス治療:新しい研究成果 アメリカ眼科学会(AAO)の年次総会(2023年10月19日、シカゴ)および角膜・眼バンクフォーラム(同年10月18日)で発表された新しい研究によると、帯状疱疹が目に影響を及ぼす場合の炎症や感染症、さらに痛みのリスクを低減するために、長期の低用量抗ウイルス治療が有効であることが明らかになりました。 帯状疱疹とその影響 帯状疱疹は、水痘の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスが神経細胞内で何十年も休眠状態を保ち、その後何らかの理由で再活性化することで発生します。この病気は主に50歳以上の人々や、免疫機能が低下している成人に多く見られ、神経経路に沿って広がり、神経が支配する皮膚領域に痛みを伴う水疱性発疹を引き起こします。 アメリカでは毎年100万人以上が帯状疱疹にかかり、そのうち約8%が額と目を支配する神経に影響を及ぼします。この状態は「眼性帯状疱疹(herpes zoster ophthalmicus, HZO)」と呼ばれ、角膜が影響を受けると角膜炎、眼内部が影響を受けると虹彩炎を引き起こします。これらは痛み、赤み、視力低下、さらには緑内障を伴い、慢性眼疾患や瘢痕、視力喪失に繋がることがあります。 研究の概要 8年間にわたるZoster Eye Disease Study(ZEDS)では、1年間の低用量抗ウイルス薬「バラシクロビル(valacyclovir)」を投与された参加者は、新たな眼疾患のリスクが18カ月時点で26%減少したことが報告されました。また、12カ月時点で30%、18カ月時点で28%の多発性疾患再発の減少が見られました。 さらに、バラシクロビルを服用した参加者は、痛みの持続期間が短縮し、神経痛用薬の使用量が大幅に減少しました。これらの薬(例:プレガバリン、ガバペンチン)は

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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