蚊を殺す薬でマラリアを防ぐ!集団投薬が拓く新たな感染症対策
長年、人類を苦しめてきた感染症、マラリア。既存の対策が限界を迎えつつある中、意外な薬が新たな希望の光として注目されています。もともとは寄生虫の駆除に使われていた「イベルメクチン」。この薬が、蚊を介したマラリアの感染を劇的に減らす可能性があることが、大規模な臨床試験で示されました。この記事では、マラリアとの闘いに新たな武器をもたらす可能性を秘めた、BOHEMIA試験の驚くべき結果について詳しく解説します。 住民全体にイベルメクチンを投与することでマラリアの伝播が大幅に減少し、この病気との闘いに新たな希望がもたらされました。マラリアに対するイベルメクチンに関するこれまでで最大規模の研究であるBOHEMIA試験では、既存の蚊帳の使用に加えて、新規のマラリア感染が26%減少したことが示され、マラリア対策における補完的なツールとしてのイベルメクチンの可能性を強く裏付ける証拠となりました。このプロジェクトは、バルセロナ・グローバルヘルス研究所(ISGlobal)―「ラ・カイシャ」財団の支援を受ける機関―が、マニサ保健研究センター(CISM)およびKEMRI-ウェルカムトラスト研究プログラムと協力して調整したもので、その結果は2025年7月23日に『The New England Journal of Medicine』に掲載されました。このオープンアクセス論文のタイトルは、「Ivermectin to Control Malaria — A Cluster-Randomized Trial(マラリア制御のためのイベルメクチン — クラスターランダム化試験)」です。 マラリアは依然として世界的な健康課題であり、2023年には2億6,300万人の症例と59万7,000人の死亡が報告されています。長時間持続型殺虫剤処理蚊帳(LLINs: long-lasting insecticid
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Edited by Michael D. O'Neill

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