腸にも脳神経のような通信網があった!幹細胞の制御メカニズムを解明

腸にも脳神経のような通信網があった!幹細胞の制御メカニズムを解明

私たちの腸は、数日ごとに生まれ変わる驚異的な再生能力を持っています。その鍵を握るのが「腸管幹細胞」ですが、この細胞がどのようにして正確な指示を受け取っているのかは、長年の謎でした。しかし今回、シンガポールの研究チームが、まるで脳の神経細胞のように、特定の細胞が幹細胞に直接シグナルを届けるという、驚くべき「有線通信」システムを発見しました。この発見は、腸の健康や再生医療の常識を覆すかもしれません。 再生医療と腸の健康における重要な進展として、デューク-NUSメディカルスクールと南洋理工大学シンガポール校(NTUシンガポール)の科学者たちが、腸内における精密かつ予期せぬコミュニケーションシステムを解明しました。テロサイトとして知られる支持細胞が、脳のニューロンのように微細な突起を使い、腸管幹細胞に直接シグナルを送達しているのです。2025年7月23日に科学雑誌『Developmental Cell』に掲載されたこの研究は、腸がどのようにして自己を維持し修復するかについての長年の定説に挑戦するものであり、炎症性腸疾患(IBD: inflammatory bowel disease)や大腸がんといった疾患に対するより良い治療法につながる可能性があります。この論文のタイトルは、「Telocytes Deliver Essential Wnts Directly to Murine Intestinal Stem Cells Via Synapse-Like Contacts(テロサイトはシナプス様接触を介して必須Wntをマウス腸管幹細胞に直接送達する)」です。 腸の内壁は、人体で最も活発な組織の一つです。腸壁にある陰窩(クリプト)と呼ばれる微小なくぼみの奥深くに存在する少数の幹細胞のおかげで、数日ごとに自己再生を繰り返しています。これらの幹細胞は分裂して特殊化し、腸を健康で

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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