“踊る分子”で重度の脊髄損傷の修復に成功。生体分子の動きを模倣した短い修飾ペプチドを単回注射したところ、麻痺した動物が4週間で歩く能力を取り戻した。
サイエンス出版部 発行書籍
ノースウェスタン大学の研究者らは、「踊る分子」を利用して、重度の脊髄損傷後の麻痺を回復させ、組織を修復する新しい注射療法を開発した。2021年11月11日発行のScience誌に掲載された今回の研究では、麻痺したマウスの脊髄周辺の組織に注射を1回打った結果、わずか4週間後には、歩く能力が回復したという。この論文は 「超分子運動を強化した生物活性スキャフォールドが脊髄損傷からの回復を促進する(Bioactive Scaffolds with Enhanced Supramolecular Motion Promote Spinal Cord Injury)」と題されている。 この画期的な治療法は、細胞が修復・再生するきっかけとなる生物活性シグナルを送ることで、重度の損傷を受けた脊髄を以下の5つの点で劇的に改善した。 (1)軸索と呼ばれる神経細胞の切断された延長部分が再生された (2)再生や修復の物理的な障壁となる瘢痕組織が大幅に減少した (3)電気信号を伝達するのに重要な軸索の絶縁層であるミエリンが細胞の周囲で効率的に再形成された (4)損傷部位の細胞に栄養を供給するための機能的な血管が形成された (5)より多くの運動神経細胞が生存した また、この治療法が機能を果たした後、そのマテリアルは12週間以内に細胞の栄養となるように生分解され、その後は目立った副作用もなく体内から完全に消失した。本研究は、化学構造の変化によって分子の集団的な動きを制御し、治療効果を高めた初の研究である。 この研究を主導したSQI(Simpson Querrey Institute for BioNanotechnology)のSamuel Stupp博士(Board of Trustees Professor of Materials Science and Engineering,
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