ロックフィッシュ88種のゲノムを比較し、長寿に関連する遺伝子を特定。最長寿種は200年以上生きることも。
サイエンス出版部 発行書籍
ロックフィッシュは環太平洋地域のメニューに登場するが、ほとんどの場合、その魚の産地や137種のうちのどの魚かを気にすることなく、単にロックフィッシュと呼ばれたり、間違ってロックコッドやレッドスナッパーと呼ばれたりしている。しかし、この一見無名の魚は、地球上の脊椎動物の中で最も長寿であることから、寿命を決定する遺伝子や、長生きすることのメリット・デメリットを知る手がかりとなる。カリフォルニア大学バークレー校の生物学者らは、2021年11月11日付のScience誌に掲載された研究で、太平洋沿岸に生息する既知のロックフィッシュの約3分の2の種のゲノムを比較し、寿命が大きく異なる原因となる遺伝子の違いを明らかにした。Science誌に掲載されたこの論文は、「太平洋のロックフィッシュ類における極端な寿命の起源と進化(Origins and Evolution of Extreme Life Span in Pacific Ocean Rockfishes)」と題されている。 色鮮やかなカラフトメバル(Sebastes dallii)のように、10年程度しか生きられないロックフィッシュもいれば、日本からアリューシャン列島まで生息するロックフィッシュの中で最も長寿なルージェイメバル(Sebastes alutianus)は、寒くて深い沿岸水域の海底で200年以上も生きられる。 これらの魚の寿命、大きさ、生活様式、生態的ニッチなどの違いを科学者らは「表現型」と呼んでいるが、これらはわずか1,000万年の間に進化したものであり、魚類の中でも最も急速な進化を遂げている。 研究者らは、ロックフィッシュの寿命を決定する遺伝子を明らかにするために、88種のロックフィッシュから組織を採取し、PacBio(SMRT)シーケンス(Pacific Biosciences社の技術を用いた高忠実度リード
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