自己由来CiPSC膵島移植で1型糖尿病が逆転:世界初の成功例

自己由来CiPSC膵島移植で1型糖尿病が逆転:世界初の成功例

サイエンス出版部 発行書籍

世界初、自己由来の化学的誘導多能性幹細胞(CiPSC)を用いた治療が1型糖尿病を逆転 2024年9月26日付のNature Newsの論説にて「世界初」と評された革新的な治療法により、1型糖尿病(T1D)の患者において糖尿病の完全な逆転が達成されました。この治療は、患者自身の体から作製した化学的誘導多能性幹細胞(CiPSC)由来の膵島細胞を用いた移植を基にしています。この1年間の追跡研究結果は、中国医学科学院の研究者らによって、2024年9月25日にCell誌に発表されました。論文タイトルは「Transplantation of Chemically Induced Pluripotent Stem-Cell-Derived Islets Under Abdominal Anterior Rectus Sheath in a Type 1 Diabetes Patient(化学的誘導多能性幹細胞由来の膵島を1型糖尿病患者の腹部前直筋鞘下に移植)」です。 患者の移植前の状況 研究対象となったのは、2023年に移植を受けた25歳女性。11年間T1Dを患い、体重75kg、BMI 27.3という状況でした。この患者は、過去に2度の肝移植(2014年、2016年)および膵移植(2017年)を受けましたが、膵移植後の血栓性合併症により膵臓が摘出されました。その後、厳格なインスリン療法を行っても目標血糖コントロールが達成できず、HbA1c値は7.4%~8.0%と、アメリカ糖尿病協会(ADA)が推奨する目標値(<7.0%)を超えていました。 移植前3か月間の連続血糖モニタリングによると、目標血糖範囲内に留まった時間(TIR)は43.18%(ADAの推奨値>70%)、危険な低血糖状態(<54 mg/dL)は2.01%(ADAの推奨値<1%)でした。これらの

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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