シンガポールとチリのバイオ企業が共同で、幹細胞エクソソームを生産する新技術を発表

シンガポールとチリのバイオ企業が共同で、幹細胞エクソソームを生産する新技術を発表

サイエンス出版部 発行書籍

2020年5月21日、シンガポールのAustrianova社とチリのCells for Cells社は、カプセル化された間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells :MSC)から細胞外小胞(extracellular vesicles :EV)を生成するための、コストと時間を節約する方法についての、新規で画期的な査読済み科学論文を学術パートナーと共に発表した。 これらの細胞外小胞は、幹細胞治療効果に寄与することが知られている。著者は、Cells for Cellsの独自の間葉系幹細胞を使用して実証し、Austrianova独自のCell-in-a-Box®カプセル化技術を使用して、カプセル化された間葉系幹細胞から細胞外小胞を製造および提供できることを示している。


この論文は、チリのアンデス大学とオーストリア・ウィーンの獣医学大学の学術パートナーと共同執筆したもので、2020年5月21日にFrontiers in Pharmacologyに掲載された。 このオープンアクセス論文は、「半透過性セルロースビーズにより、カプセル化された細胞からの小さな細胞外小胞の選択的かつ継続的な放出を可能にする(Semipermeable Cellulose Beads Allow Selective and Continuous Release of Small Extracellular Vesicles from Encapsulated Cells.)」と題されている。


現在、細胞外小胞は、GMP条件下で実行するのが難しく、面倒で費用がかかり、時間のかかるプロトコルを使用して、細胞培養条件培地から精製する必要がある。 Cell-in-a-Box®カプセル化技術は、半透孔を介してカプセル化された細胞から放出されるため、細胞外小胞を高濃度で効率的に濃縮できる。これにより、間葉系幹細胞ではなく小胞の放出が選択的に可能になる。
さらに、Cell-in-a-Box®は、間葉系幹細胞に3D培養条件を提供する。 この技術は、GMP生産を可能にする細胞培養に使用できる。 あるいは、カプセル化された細胞は、細胞外小胞、成長因子、ホルモン、およびその他の治療に関連する低分子を継続的に生成しながら、細胞をクリアランスから保護する回収可能な送達デバイスとして患者に埋め込むことができる。 さらに、カプセル化後に製造された細胞外小胞は、それ自体が薬物を搭載した配送手段として使用できる。 この技術は、再生性疾患や炎症性疾患の治療に非常に役立つ。

Cells for CellsのCSOであるMaroun Khoury博士は、次のように述べている。
「これは、細胞外小胞ベースの治療法の急成長分野をサポートするために、さまざまな専門知識を結集した多面的なプロジェクトだ。 近い将来、生体内での細胞外小胞の継続的な放出をテストすることは興味深いだろう。」

AustrianovaのCEO、Brian Salmons博士は、次のように述べている。
「Cells for Cellsの仲間との長期プロジェクトの集大成を表すこれらの結果が、ようやく公開されたことを嬉しく思う。 Cell-in-a-Box®を使用して エクソソーム を生成する手段としての幹細胞のカプセル化は、すべての幹細胞タイプに適用できる画期的な技術革新だ。」

AUSTRIANOVA
SGオーストリアグループの一部であるAustrianovaは、グローバルフットプリントを持ち、シンガポールに本社を置くバイオテクノロジー企業だ。 Austrianovaは、生きた哺乳類細胞(Cell-in-a-Box®)と細菌細胞(Bac-in-a-Box®)をカプセル化するための新しい独自の技術を利用している。 Cell-in-a-Box®は、カプセル化された細胞を免疫系による拒絶から保護し、細胞を患者の特定の部位に容易に輸送、保管、および移植することができる。 欧州で実施された臨床試験で、安全かつ効果的であることが証明された技術により、あらゆる種類の細胞を万能薬として開発することができる。
Bac-in-a-Box®は、凍結乾燥条件下での保存期間を延長し、カプセル化された細菌を胃酸による破壊から保護する能力により、人間の食品や動物の飼料用途があるプロバイオティック細菌のカプセル化に適した同様の保護デバイスだ。
Austrianovaは現在、競争力のある価格のマスターセルバンクとワーキングセルバンクの生産に加え、細胞治療製品(幹細胞療法や細胞から生産された生物製剤など-ワクチン、抗体、組換えタンパク質など)の充填サービスを含むGMP4Cell タンパク質などを供給している。

CELLS FOR CELLS
Cells for Cellsは、ISO 9001:2015で認定された製造プロセスを通じて、科学的、技術的、および国際的な品質の高い基準に準拠し、革新的な細胞療法の研究、開発、商品化を専門とするチリのバイオテクノロジー企業だ。各療法は、 中南米レベルでこのような高品質の基準を備えたGMP基準の最初のバイオテクノロジー企業である。 同社の治療は、認定された専門家によって行われる。

BioQuick News:Austrianova & Cells for Cells Announce Publication of Peer-Reviewed Article on Novel Method to Produce Stem Cell Exosomes

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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