iPS細胞から脳の免疫細胞「ミクログリア」をわずか4日で!アルツハイマー病研究に革命

アルツハイマー病やパーキンソン病といった、脳の病気はなぜ起こるのでしょうか?その謎を解く鍵の一つが、私たちの脳の中に存在する「ミクログリア」という特殊な免疫細胞です。この細胞は、脳のお掃除屋さんとして、有害物質や不要な細胞を取り除き、脳の健康を守っています。しかし、このミクログリアの働きが悪くなると、脳に深刻なダメージを与えてしまいます。これまで研究のためにヒトのミクログリアを手に入れるのは非常に困難でしたが、もし、この重要な細胞を実験室で、しかもわずか数日で大量に作れるとしたらどうでしょう?ハーバード大学の研究チームが、まさにそんな夢のような技術を開発し、脳研究と治療法開発に新たな扉を開きました。 脳の免疫細胞「ミクログリア」を迅速に作製する新技術 ミクログリアは、脳と脊髄に存在する全細胞の約10%を占める特殊な免疫細胞です。その役割は、感染性の微生物、死んだ細胞、凝集したタンパク質、そして脳に危険を及ぼす可能性のある可溶性抗原を除去することにあります。また、発達期には神経回路の形成を助け、特定の脳機能を実現するためにも働きます。ミクログリアが正常に機能しないと、神経炎症を引き起こし、損傷した細胞や、アルツハイマー病で見られる神経原線維変化やアミロイド斑といった有害なタンパク質の塊を除去できなくなります。これは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病のほか、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症など、数多くの神経変性疾患の一因となります。実際、神経炎症はタンパク質が病原性のある凝集体を形成し始める前から発生し、タンパク質の凝集をさらに加速させることさえあります。 脳内のミクログリアの機能をより深く理解し、標的とすることを目指す研究者や創薬開発者にとって、ヒトのミクログリアは生検でしか入手できず、また、げっ歯類のミクログリアは多くの重要な特徴においてヒトのもの
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Edited by Michael D. O'Neill
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