メスも放射線も使わない!「超音波と泡」で脳血管奇形の成長を止める新技術

メスも放射線も使わない!「超音波と泡」で脳血管奇形の成長を止める新技術

脳の奥深く、手術のメスが届かない場所にできた、いつ破裂するかわからない血管の塊。脳海綿状血管腫(CCM)と呼ばれるこの病気は、てんかんや脳卒中を引き起こす可能性があり、患者とその家族に大きな不安をもたらします。そんな絶望的な状況に、一筋の光が差し込むかもしれません。手術も、放射線も、そして薬さえも使わず、「超音波」と「微細な泡」だけで病変の成長を食い止め、新たな発生さえも防ぐという、SFのような治療法の開発が大きく前進しました。 集束超音波とマイクロバブルを用いた非侵襲的な画像誘導療法が、脳海綿状血管腫(CCM)のマウスモデルにおいて、病変の成長を阻止し、新たな形成を減少させることが示されました。これは、外科的切除や定位放射線手術に代わる、より安全な治療法となる可能性があります。CCMは、脳内にできる脆弱で異常な血管の塊であり、出血することでてんかん、脳卒中、進行性の神経機能低下を引き起こす可能性があります。外科的切除が標準治療ですが、言語や運動機能などを司る重要な脳領域(雄弁野)にある病変は、手術が困難な場合が多くあります。定位放射線手術(SRS)も一部の患者にとって選択肢となりますが、その効果は一様ではなく、放射線による有害事象や新たな病変形成のリスクを伴います。 この度、バージニア大学の研究者たちが学術誌『Nature Biomedical Engineering』に発表した新しい研究では、MRIガイド下で、集束超音波と静脈注射したマイクロバブル(FUS-MB)を組み合わせることで、マウスモデルのCCMの成長を安全に停止させ、新たな病変の形成を大幅に減少させることが実証されました。重要なことに、これらの効果は薬剤を使用せずに達成されました。このオープンアクセスの論文のタイトルは、「Focused Ultrasound–Microbubble Treatment

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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