腎炎から腎臓を保護する合成ペプチド(TNF由来TIPペプチド)を開発

腎炎から腎臓を保護する合成ペプチド(TNF由来TIPペプチド)を開発

サイエンス出版部 発行書籍

合成ペプチド(TNF由来のTIPペプチド)が腎炎で起こる破壊的な炎症を中断し、腎臓がその重要な機能をよりよく回復し維持することを可能にするとジョージア医科大学の研究者らは報告している。TIPペプチドを全身に投与しても腎臓に直接投与しても、血圧を上昇させることなく免疫細胞の腎臓への移動を抑制し、炎症と損傷を解消し、腎機能を改善した。

 

2019年3月20日にKidney Internationalのオンラインで公開されたこの論文のタイトルは「TNF由来TIPペプチドは上皮ナトリウムチャネルを活性化し、実験的腎毒性血清腎炎を改善する(The TNF-Derived TIP Peptide Activates the Epithelial Sodium Channel and Ameliorates Experimental Nephrotoxic Serum Nephritis.)」と題されている。

重度の感染症や怪我、そしてコントロールできない高血圧や糖尿病などの病気は、腎臓とそれぞれに含まれる100万のフィルターユニットの両方に影響を与え、急性または慢性の腎炎を引き起こす可能性がある。 特に腎炎が慢性の場合、患者はしばしば腎不全や透析を受けるため、基礎研究者や医師はより良い改善方法を求めている。

そこで、この研究の研究者たちは、腎炎の徴候の数日以内に、将来患者に与えられるかもしれないのと同じ方法でTIPペプチドを与えた。研究者らは、中等度腎炎の動物モデルにおいて、腎臓機能不全の兆候である尿中の過剰な炎症やタンパク質のような顕著な問題を動物が回避できることを発見した、とジョージア医科大学(MCG)血管生物学センターの准教授で、Kidney Internationalの論文の上級著者であるRudolf Lucas博士は語った。

致命的な重症腎炎マウスモデルにおいて、合成ペプチドによる処置は80%のマウスの生存率をもたらした。「それはかなり有望だと思った」とLucas博士は語った。疾患の後期段階で、低用量のTIPペプチドはまた、T細胞のレベル、免疫応答および炎症の促進因子を減少させた。

「このペプチドは、経時的に腎臓の全身状態を実際に改善するようだ」とLucas博士は語った。実際、彼はペプチドが慢性腎臓病からの回復を助けることができるかどうかを研究したいと考えている。

研究者らは、肺炎や外傷などの急性肺損傷患者をヨーロッパですでに治験しており、肺移植患者でもTIPペプチドが急性腎炎の標的治療として有望であると述べている。

「腎炎の過程で腎臓の炎症が回復することが示された」と、MCG医学部の名誉会長であり、この研究の共同執筆者であるMichael Madaio医師は、Lucas博士と共に述べている。 「我々はそれが効果的であること、そしてそれが腎臓自体の中で局所的な効果であることを示した。」
コルチコイドステロイドのような現在の治療法は一般に免疫反応を抑制し、患者を感染症そしてさらには癌の危険にさらす。

「我々はこれを治療するための素晴らしい方法を探していた。理論的には、これはステロイドの抗炎症作用に取って代わる可能性がある」とペプチドを腎臓に届ける抗体を開発したラボのMadaio医師は述べた。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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