黒死病原菌はおそらく絶滅している
黒死病と呼ばれ14世紀のヨーロッパを襲った壊滅的な伝染病ペストは、今はもう絶滅したバクテリアYersinia pestisによるものだと思われる。この記事は2011年8月29日付けのPNAS誌に発表された。カナダのマックマスター大学のポワナー・ヘンデリック博士と研究者グループは、イギリスのロンドンにあるイースト・スミスフィールドの集団埋葬地から掘り出された109人の白骨遺体から検出されたDNAを分析し、この結果にたどり着いた。
また、セント・ニコラス・シャンブルから掘り出された10人の遺骨からもDNAを検出し、解析を行なった。イースト・スミスフィールドに埋葬されていた遺骨からはY. pestisの遺伝子が見つかり、著者達によって配列解析されたこの遺伝子は、古来の病原体の中でも最も歴史の長い遺伝子の集合体である。
この遺伝子配列は、既に知られている他のY. pestisのそれとは異なり、黒死病を起こした病原体はすでに絶滅していることを示していると著者達は断定した。
現在の伝染病は世界中で年2000人もの被害者を出している。これらの病気の初期形態を調べる事で病原体の進化の歴史や、さらには黒死病の時のような広範囲にわたる惨状がどのように起こったのかを解明する手がかりになると著者達は考えている。
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Edited by Michael D. O'Neill
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