100年来の謎だった休眠状態の細菌の胞子が生命を取り戻す仕組みを解明。
サイエンス出版部 発行書籍
ハーバード大学医学部(HMS)の研究者が、150年以上前に初めて報告された細菌の胞子に関する謎を解き明かした。この胞子は、不活性で眠っている状態から栄養素の存在を感知すると素早く生き返るための新しい種類の細胞センサーを持っていることが分かった。このセンサーは、休眠中は閉じているが、栄養を感知すると急速に開くことが判明した。膜を貫通するチャネルとして機能するこのセンサーが開くと、胞子の保護膜が剥がれ、代謝プロセスのスイッチが入るのだ。この研究成果は、4月28日付の『Science』誌に掲載された。 HMSのブラバトニック研究所の微生物学教授であるデビッド・ルドナー博士は、「この発見は、1世紀以上前のパズルを解決するものだ。バクテリアはどのようにして環境の変化を感じ取り、保護されたケースの中でシステムがほぼ完全に停止しているときに、休眠状態から抜け出すための行動を起こすのだろうか?」と述べている。 この研究成果は、危険な細菌の芽胞が数カ月から数年間も休眠し、再び目を覚まして大発生するのを防ぐ方法の設計に役立つと考えられる。論文は「細菌胞子発芽レセプターは栄養塩ゲートイオンチャネルである(Bacterial Spore Germination Receptors Are Nutrient-Gated Ion Channels)」と題されている。 眠っていた細菌がよみがえる仕組み 悪環境を生き抜くために、一部の細菌は休眠状態に入り、生物学的プロセスを保留して細胞の周囲に保護膜を張り巡らせた芽胞となる。これにより、細菌は飢饉の時期を待ち、猛暑や乾燥、紫外線、刺激の強い化学物質、抗生物質などの害から身を守ることができる。 100年以上前から、芽胞が環境中の栄養分を感知すると、急速に保護膜を脱いで代謝エンジンを再稼働させることが知られていた。しかし、栄養分を感知するセンサー
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