心筋梗塞後の予後を改善する「ひと工夫」。治療のタイミングが命を救う

心筋梗塞後の予後を改善する「ひと工夫」。治療のタイミングが命を救う

サイエンス出版部 発行書籍

心筋梗塞を乗り越えた後、最も恐ろしいのは「再発」のリスクです。その鍵を握るのが「悪玉コレステロール」の管理ですが、現在の標準的な治療法では、多くの患者さんが目標値を達成できずにいるという厳しい現実があります。もし、治療の「タイミング」を少し変えるだけで、再発や死亡のリスクを劇的に下げられるとしたらどうでしょうか?スウェーデンの36,000人もの患者データを解析した最新の研究が、心筋梗塞後の治療戦略に一石を投じる、シンプルかつ強力な答えを導き出しました。それは、多くの命を救う可能性を秘めた、治療の「ひと工夫」に関するものです。 心筋梗塞後の予後改善、鍵は早期の併用療法 心血管疾患は世界で圧倒的に多い死因であり、心筋梗塞は最も一般的な急性イベントです。心筋梗塞を乗り越えた人々にとって、血管がより敏感になり血栓(けっせん)ができやすくなるため、最初の1年間は新たな心臓発作のリスクが最も高くなります。 血中の「悪玉」コレステロールを減らすことは血管の変化を安定させ、新たなイベントのリスクを低下させます。現在の確立された標準治療は、梗塞直後に高用量のスタチンで治療することです。しかし、大多数の患者はこの薬剤だけでは治療目標に到達できません。推奨されるコレステロール値まで下げるためには、追加の治療が必要となります。 「今日のガイドラインは脂質低下療法の段階的な追加を推奨しています。しかし、この治療強化には時間がかかりすぎ、効果が薄く、患者さんが追跡調査から外れてしまうことがしばしばあります」と、筆頭著者であるルンド大学准教授でスウェーデンのスコーネ大学病院上級心臓病専門医のマルガレート・レオスドッティル氏(Margrét Leósdóttir)は述べています。 2025年4月14日に米国心臓病学会誌(Journal of the American College

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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