週1回の糖尿病薬でCGL治療を簡素化:痛みのない新アプローチに期待

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サイエンス出版部 発行書籍

ラトガース・ヘルスの研究者らは、極めてまれな遺伝性疾患である先天性全身性脂肪萎縮症(CGL: congenital generalized lipodystrophy)患者において、糖尿病治療薬の週1回の注射が、痛みを伴う日々のホルモン注射に代わる可能性があることを明らかにしました。この研究結果は、2025年1月29日に『The New England Journal of Medicine』誌に「Tirzepatide for Congenital Generalized Lipodystrophy(先天性全身性脂肪萎縮症に対するチルゼパチド)」というタイトルで掲載されました。CGLは全世界で数千人程度しか罹患していない極めて稀な疾患で、深刻な代謝障害、糖尿病、インスリン抵抗性、そして寿命の短縮を引き起こします。この疾患では脂肪組織がほとんど存在しないため、脂肪の適切な貯蔵が行えず、肝臓などの臓器に脂肪が蓄積してしまい、重度のインスリン抵抗性と糖尿病を引き起こします。 「これらの患者さんは重篤な状態で、深刻なインスリン抵抗性のために著しく寿命が短縮されてしまいます」と、ラトガース・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学の内分泌・代謝・栄養学部門長であり、本研究の責任著者であるクリストフ・ビュトナー博士(Christoph Buettner MD, PhD)は述べています。 現在、CGLの標準的な治療法は、脂肪組織のみが自然に産生するホルモンであるレプチンの合成版「メトレレプチン」の毎日の注射です。しかし、これらの注射は非常に高価で、年間数百万円に及ぶ上に、CGL患者にとって非常に痛みを伴う治療です。 「例えばインスリンを注射する場合、通常は皮下脂肪に注射しますが、CGLの患者さんにはその脂肪がありません」と、本研究の第一著者であるスヴェトラーナ・テン博士(Sv

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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