心血管系疾患に、マイクロRNAの抑制治療の道

心血管系疾患に、マイクロRNAの抑制治療の道

サイエンス出版部 発行書籍

ウェイクフォレスト・バプテスト医療センターの研究者達が試験している新しい治療法が、心血管系疾患に効果的であることが実証された。この治療法は非ヒトの霊長類で試験が進められていて、善玉コレステロールを増やし、血液中のトリグリセライドを下げる働きがあるのだ。国立衛生研究所とカナダ保健研究所のサポートにより、前臨床実験での成果が2011年10月19日付けのネイチャー誌に掲載された。   「今回の研究は、HDL(善玉コレステロール)の量と心臓病の間に強い逆相関があり、この関係を解明するために実施されました。HDLの量が高いほど、心血管系疾患のリスクは下がります。」と説明するのは、共同研究者でウェイクフォレスト・バプテスト病理脂質学の准教であるライアン・テメル博士である。しかし、HDLを大幅に上げる治療法は未だ実在していない。「悪玉コレステロールのLDLを下げるのに有効な治療法は存在しますが、現代医学ではHDLを上げる良い方法は発見されていません。例えスタチンや、LDLを下げる他の治療法を施しても、冠動脈疾患のリスクはまだ50%も残るのです。改善の余地が十分にあるのは明らかですね。」と、テメル博士は説明する。 テメル博士は、ニューヨーク大学(NYU)ランゴンメディカルセンターとバイオ医薬品会社レギュラス・セラピューティック社の共同研究者として、マイクロRNA-33(miR-33)をターゲットとする新薬を研究している。miR-33は、善玉コレステロールを下げ、トリグリセライドの生成を上げる、小さなRNA分子である。以前行われたマウスの研究では、この薬剤は、動脈硬化性プラークの退縮を促進し、HDLを上げる効果があった。今回の研究では、薬剤である抗-miR-33がヒト以外の霊長類で試験され、HDLを上げ、トリグリセライドを下げる効果が見られた。霊長類は2種類のmiR-33(miR-33

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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