癌細胞は選択的にエクソソームを集積・分泌し、T細胞の腫瘍への浸潤を阻止することが判明。チェックポイント阻害療法の成功の鍵を示唆。
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チェックポイント阻害剤は、多くの癌患者にとって画期的な治療法だ。チェックポイント阻害剤は、腫瘍に対する免疫系の反応にかかる「ブレーキ」を取り除くことで効果を発揮するが、それでも約70%の患者がこの薬剤に反応しない。こうした非奏功者の中には、通常は癌細胞を排除するために働く免疫系のキラーT細胞が、腫瘍の境界まで侵入できない人がいることが発見された。ペンシルバニア大学人文科学部の生物学者であるウェイ・グオ博士らは、キラーT細胞が腫瘍に侵入できないようにするメカニズムを明らかにした。この研究は、2022年7月14日にNature Communicationsに掲載され、チェックポイント阻害剤に対する患者の反応性を予測するための新しいツールを提供するものだ。このオープンアクセス論文は「HRSリン酸化が免疫抑制性エクソソーム分泌を促進し、CD8+ T細胞の腫瘍への浸潤を抑制する(HRS Phosphorylation Drives Immunosuppressive Exosome Secretion and Restricts CD8+ T-Cell Infiltration into Tumors)」と題されている。「チェックポイント阻害療法の成功には、腫瘍への浸潤が極めて重要だ」と、この研究のシニアオーサーであるグオ博士は述べている。「このT細胞浸潤が非常に重要であるため、どのように作用し、どのような場合に作用しないのか、その分子メカニズムを知ることも重要だ。」 腫瘍細胞から分泌されるエクソソームの役割 これまでの研究で、グオ博士の研究室は、癌性腫瘍がエクソソーム(生体ドローンとして機能する小胞)を分泌し、原発腫瘍からかなり離れた部位で免疫系と戦闘を行う方法を探ってきた。2018年にNatureに掲載されたその研究は、PD-L1タンパク質を搭載したエクソソームが、T細胞を腫
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