脾臓機能チップによる鎌状赤血球症の診断に成功

脾臓機能チップによる鎌状赤血球症の診断に成功

サイエンス出版部 発行書籍

毎日、何十億という赤血球が脾臓を通過する。脾臓は、古くなったり傷ついたりした血球をろ過する役割を担っている臓器だ。しかし、鎌状赤血球症の患者のように血球の形が悪いと、この作業はより困難になる。鎌状赤血球は脾臓のフィルターを詰まらせ、生命を脅かす事態を引き起こす可能性があるのだ。MIT、シンガポールの南洋理工大学、パリのパスツール研究所などの研究者らは、このたび、急性脾臓閉塞と呼ばれる現象の発生をモデル化できるマイクロ流体デバイス、すなわち「脾臓・オン・ア・チップ」を設計した。 研究チームは、この生体機能チップを用いて酸素濃度が低いと脾臓のフィルターが詰まりやすくなることを発見した。また、酸素濃度を上げるとフィルターの詰まりが解消されることも明らかにした。このことは、この症状に苦しむ患者に輸血が有効であることの説明につながるかもしれない。 「酸素濃度を上げれば、閉塞は元に戻る。これは、脾臓閉塞の危機が起こったときに行われることを真似ている。医師が最初にすることは輸血で、ほとんどの場合、それで患者はある程度安心するのだ。」とMITの材料科学工学科の主任研究員で、この研究の主執筆者の一人であるミン・ダオ博士は語った。 MITの前工学部長でヴァネヴァー・ブッシュ名誉教授、シンガポールの南洋理工大学元学長のスブラ・スレッシュ博士、パスツール研究所医長でパリ大学教授のピエール・ビュフェ博士、ブラウン大学応用数学のロビンソン・バーストウ教授のジョージ・カルニアダキス博士も、この研究の主執筆者である。そしてMITのポスドクであるユハオ・チアン博士は、今週(2023年2月3日)PNASに掲載された論文の主執筆者だ。 この論文は「ヒト脾臓による異常赤血球の保持と排出のマイクロ流体研究 -鎌状赤血球症への応用をめざして(Microfluidic Study of Retention

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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