マイクロ流体工学と音波を組み合わせてエキソソームを血液から分離。臨床現場での利用を目指す

2017
10月 5
(木)
11:00
先端診断のライフサイエンスニュース

マイクロ流体工学と音波を組み合わせてエキソソームを血液から分離。臨床現場での利用を目指す

細胞は、エキソソームと呼ばれる膜を持った超微小な包みを分泌し、この包みは体の一箇所から他の箇所に重要なメッセージを運ぶことができる。MITその他の研究機関の研究者らがこのメッセージを捕捉する手法を開発した。この手法はがんや胎児異常などの問題の診断にも用いることができ、そのための新開発の装置はマイクロ流体工学と音波を組み合わせてエキソソームを血液から分離するようになっている。同グループでは、この技術を携帯できる大きさの装置に組み込むことで臨床現場で患者の血液サンプルを分析し、その場で診断が出せるようにしたいと考えており、そうなれば現在使われている、扱いが難しく、しかも時間のかかる超遠心分離法を必要としなくなる。

2017年9月18日付のPNASに掲載された研究論文の首席著者の一人で、MITのDepartment of Materials Science and Engineeringの主任科学研究員、Dr. Ming Daoは、「このエキソソームは、身体に異常があった場合にその異常に固有の物質を含んでいることが多い。そのエキソソームを分離すれば生物学的解析にかけることで、その異常をつきとめることができる」と述べている。この論文の他の首席著者として、シンガポールのNanyang Technological Universityの次期大学総長で、かつてMITのEngineering学部長を務め、現在はMITでVannevar Bush Professor of Engineering Emeritusを務めるDr. Subra Suresh、Duke UniversityのMechanical Engineering and Materials Science教授を務めるDr. Tony Jun Huang、ピッツバーグ市にあるMagee-Women’s Research InstituteのDirectorを務めるDr. Yoel Sadovskyらが名を連ねている。また、Duke Universityの大学院生、Mengxi Wuが論文の筆頭著者を務めている。

この論文は、「Isolation of Exosomes from Whole Blood by Integrating Acoustics and Microfluidics (音響とマイクロ流体工学とを組み合わせ、全血からエキソソームを分離)」と題されている。2014年、同じ研究チームが初めて「細胞を微小管路中に流し、音波をかけることでその細胞を分離することができた」と報告している。現行の細胞選別技術では、細胞を化学物質でタグ付けしたり、あるいは細胞を損傷しかねないほど強い機械的力をかけるなどの問題があり、同グループの手法はそれに比べるとはるかに細胞にとって穏やかである。その後、同研究グループは、この技術を使って、血液サンプルからきわめて希少な循環腫瘍細胞の分離も可能であることを示した。同研究グループは新しい研究でエキソソームの捕捉を目指した。エキソソームという嚢胞は直径が通常30ナノメートルから150ナノメートルという微小なもので、タンパク質、RNAその他の重要な細胞物質を運ぶことができる。

 

続きを読む
ログインしてください


    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    «
    »

    閲覧(1867)

    おすすめ製品・サービス

    Greenpharma 植物抽出物ライブラリ
    ナレッジ・ベースド・フィルターで厳選した200植物由来の800抽出物が含まれたライブラリ  Greenpharma社は最も多様性に富んだフィトケミカル製品を揃えるために、ナレッジ・ベースド・フィルターにより200植物を内因性および外因性の基準から選定しました。 これらの植物は異なる地域に自生し(外因性基準)、科・属、そして種の多様性(内因性基準)から選択されています。 オリジナリティーを高めるため、論文での引用数がまだ20以下の植物に特化しました。 Greenpharma 植物抽出物ライブラリは、植物由来の低分子の化学的多様性にアクセスする効率的ツールです。 またGreenpharma天然由来化合物ライブラリ(480のDrug-like低分子化合物を厳選したライブラリ)を補完してフィトケミカルの多様性を広げることができます。

    おすすめ製品・サービス

    ACQUITY UPLC Arc Bio
    ルーチンのバイオセパレーションを効率化 ACQUITY Arc Bioシステムは、既に他のLCシステムで開発した分析法の一貫性を損なうことなく効率的かつ容易に移管できます。 更にバイオイナート流路設計により、タンパク質との相互作用と、高塩濃度移動相使用時における腐食を最小限に抑えることで、生体高分子分析に更なる堅牢性を付与し、システム稼働時間を最大化します。 逆相 (RP)、イオン交換 (IEX)、サイズ排除 (SEC)、親水性相互作用(HILIC)、または疎水性相互作用 (HIC) といった生体高分子の特性解析に必要な全てのクロマトグラフィーモードを同一システムで、かつ良好なサンプル回収率、低キャリーオーバー、高い堅牢性で実施可能です。
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社
      登録ユーザー数
      3026人
      2018年07月23日 現在
      新メンバー
      Dcotre 2018/7/19
      Kitazacc 2018/7/19
      Hiraku 2018/7/17
      いんたろう 2018/7/12
      yamakiyo 2018/7/12
      Chikiemo 2018/7/10
      しみき 2018/7/4
      zawato 2018/7/2
      25 人のユーザが現在オンラインです。 (17 人のユーザが バイオクイックニュース を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 25
      抗体よもやま話
      質量分析屋のネタ帳
      創薬よ何処へ
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2018/07/23:530/4828
      2018/07/22:572/7059

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。