パーキンソン病の匂いを嗅ぎ分ける女性が質量分析を用いた揮発性バイオマーカーの研究に協力
サイエンス出版部 発行書籍
パーキンソン病(Parkinson's disease)は、進行性の脳細胞死および運動機能の広範な喪失をもたらす神経変性疾患である。 この疾患に関して多くの研究が行われているにもかかわらず、現在利用可能な決定的診断試験法は無い。マンチェスター大学(英国)の研究者らは、パーキンソン病を匂いで感じ取ることができる女性の助けを借り、この疾患の特徴的な臭いを構成する化合物の同定について報告した。 2019年3月20日に、American Chemical Societyから出版されたACS Central Scienceでこの発見は報告された。 このオープンアクセスの論文は「皮脂からパーキンソン病の揮発性バイオマーカーの発見(Discovery of Volatile Biomarkers of Parkinson’s Disease from Sebum.)」と題されている。ヒポクラテス、ガレヌス、そしてアビチェンナなど古代の医師らは、診断ツールとして匂いを使った。嗅覚検査は現代医学では一般的ではないが、糖尿病のような病気はしばしば特定の匂いに関連している。 しかし、匂いと神経変性疾患とを結び付ける証拠はほとんど無かった。超人的な嗅覚を持つ女性、Joy Milneさん(写真)は、1986年に亡き夫のLesがパーキンソン病と診断された。彼女は非常に敏感な嗅覚を持っており、普通の嗅覚能力では検出されない匂いを検出して、区別することが可能だ。Milneさんは臨床症状が現れるよりずっと前にパーキンソン病の独特の皮脂の臭いを区別することができる。そこで、マンチェスター大学のマンチェスターバイオテクノロジー大学院マススペクトロメトリー教授のPerdita Barran博士は、Milneさん協力の元、どの化学物質がパーキンソン病患者の皮脂の匂いを構成しているのかを判断したいと考えた。 皮脂
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