エキソソームによる膵臓がんの早期検出血液検査の見通しをPanCANの研究者が報告
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カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者チームは、膵臓がんの存在を示す手がかりを探すための血液サンプルを分析する新戦略を評価した研究を発表した。ACS Nanoに掲載されたこの論文は、「交流電気動力学チップ上のエキソソームタンパク質バイオマーカーの統合解析が患者血液中の膵臓がんの迅速な検出を可能にする(Integrated Analysis of Exosomal Protein Biomarkers on Alternating Current Electrokinetic Chips Enables Rapid Detection of Pancreatic Cancer in Patient Blood)」と題されている。
早期に膵がんと診断された患者は、長期生存の可能性が高く、手術を含む治療オプションへのアクセスが増加する。 しかし、現在のところ、膵臓がんのための標準スクリーニングプログラムまたは効果的早期検出戦略は存在しない。
PanCAN(膵臓がんアクションネットワーク)のような研究者や組織では、早期に疾患を効果的に診断し、改善する方法の特定に取り組んでいる。
UCSDチームの新研究では、膵臓がんと診断された人々の血液サンプルを分析し、健常人の血液と比較した。 具体的には、血液サンプルからエキソソームと呼ばれる小さな粒子を分離した。
以前、MDアンダーソンがんセンターで行われた研究プロジェクトでは、エキソソームをバイオマーカーまたは人体で何が起こっているかを示す測定可能物質としてフォーカスした。
そして今年の初め、Johns Hopkinsでは血液中のタンパク質とDNAレベルを調べ、参加者のがんの存在と位置を調べる大規模な研究を発表した。
UCSDの研究では、参加者の血液サンプル中に存在するエキソソームを単離し評価するため、技術的に進歩したマイクロチップを使用している。研究チームは、この戦略がサンプルの迅速かつ正確な評価を可能にすると主張している。 膵臓がん患者20人の血液サンプルを、健常者11人のサンプルと比較すると、82%の特異性(病気を有する人を正確に示す割合)および99%の感度(膵臓がんのない者を正確に特定する割合)が得られた。
この研究では、既に膵臓がんと診断されたがん人からの血液サンプルを評価したが、一方で、効果的な早期発見戦略には、疾患の初期段階または前がん性の異常でさえも識別しなければならないことが重要と記されている。
この早期発見検査または実験的早期検出検査の次の重要なステップは、分析が他の方法より前に、疾患を正確かつ一貫して検出するのに十分な感度と特異性を有するかを判断することである。
これを達成するためには、膵臓がんのリスクが高いと考えられる集団をスクリーニングし、モニタリングする必要がある。
PanCANのチーフ・サイエンス・オフィサーであるLynn Matrisian博士は、「この新しい研究は、エキソソームが実験的に単離され、膵臓がんの存在について分析されることを証明する重要な原理実証である。」と語った。
「しかし、異常なエキソソームが早期段階または前がん症状であるかどうかを調べるために、将来の研究を待たなければならない。」「より早期に治療可能な膵がんの段階で患者を診断する能力を向上させるために、早期発見研究を継続し、支援し、モニターする。」と彼女は付け加えた。
PanCANのこの報告書は、Allison Rosenzweig博士によって執筆された。
【BioQuick News:Researchers Set Sights on Exosome-Based Early-Detection Blood Test for Pancreatic Cancer】
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