免疫応答を抑制し疾患をコントロールするための新しいパスウェイ(lncRNA HOTAIR)が発見された。

テキサス大学アーリントン校(UTA)の研究者らは、免疫応答を調節し、髄膜炎や敗血症などの中枢神経系の炎症性疾患を潜在的に制御する新しいパスウェイを発見した。「このプロセスを調整するためには、細菌感染に対する炎症反応がどのような調節を引き起こすかを知る必要がある。そうすることができれば、敗血症や髄膜炎、癌や筋ジストロフィーなどの今まで治療が困難だった中枢神経系の炎症性疾患をコントロールすることができる。」とUTA准教授のSubhrangsu Mandal博士は語る。
Mandal博士のチームの研究成果は、2018年10月23日にScientific Reportsにオンラインで掲載された。 このオープンアクセスの論文は、「LncRNA HOTAIRは、リポ多糖によって誘導されるサイトカインの発現およびマクロファージにおける炎症反応を調節する(LncRNA HOTAIR Regulates Lipopolysaccharide-Induced Cytokine Expression and Inflammatory Response in Macrophages.)」と題されている。
研究者らは、白血球に存在するロングノンコードRNA(lncRNA)分子HOTAIRが、細菌の存在下で細胞に免疫応答を活性化するようシグナルを送る能力を有することを見出した。
RNAは全ての生細胞に存在する。 その主な役割は、DNAからの指示を運ぶことだ。 「HOTAIRがシグナル伝達経路に関与していることを知ることは、それを細菌感染のバイオマーカーとして利用できることを意味している。」とMandal博士は付け加えた。 「シンプルな血液検査は、感染症をはるかに迅速に発見し、今まで治療が難しかった敗血症性ショックや髄膜炎などの急速に容態が変化する患者の治療を改善する可能性がある。」