運動が脳力を高めることを、認知神経科学の新研究が示唆

運動が脳力を高めることを、認知神経科学の新研究が示唆

マラソンの練習をしている人なら誰でも、個々のランニングトレーニングが時間の経過とともに体力の大幅な向上をもたらすことを知っているのでトレーニングが認知機能に効果があると聞いても驚くことはないだろう。しかし、これまでのところ、その根底にある神経生物学を説明し支持するための研究はほとんどなされていなかった。



2019年3月23日から26日にサンフランシスコで開催されCognitive Neuroscience Society(CNS)
で、運動が脳に及ぼす影響について、1回のトレーニングの後に起こる脳の変化は、長期にわたる継続的な身体トレーニングで起こることを予測できることが報告された。

CNSでこのトピックに関するシンポジウム
を主催したニューヨーク大学(NYU)の神経科学教授であるWendy Suzuki博士 は、「身体活動とあなたの脳がどのように機能するかには強い直接的な関係がある。」と語った。この論文は「ヒトにおける運動の即時的および長期的な影響のイメージング」と題されている。

1500人以上の科学者がCNS年次総会に参加し、このシンポジウムでは、Michelle Voss博士とMichelle Carlson博士、そしてMichael Yassa博士とEmrah Duzel博士が講演を行った。「人々はまだ身体的健康を脳や認知的健康に結びつけていない。彼らは痩せることに関心が向いている。」

しかし、さまざまなタイプ、量、強度の身体活動が脳機能をどのように改善するかを明らかにする新研究が出てくるにつれて、認知神経科学者は、社会経済的に恵まれない地域社会において、身体活動のプラスの影響についての一般世論に大きな変化をもたらすことを期待している。

2回目のシンポジウムで話題になった新研究では、「通常、短期的および長期的の影響は異なる研究で検討されているため、エクササイズミラーによる即時の認知的影響は短期的なものとして扱われてきた」と、アイオワ大学心理脳科学部の助教授で健康・脳・認知研究室所長のMichelle Voss博士 はシンポジウムで講演を行った。

彼女のチームの最初の発見は、認知神経科学の分野にとっては朗報だ。単一のトレーニング研究の後に観察された脳の変化は、長期トレーニングのためのある種のバイオマーカーになり得ることを示唆している。

研究参加者は、軽度および中等度の強度の運動の単一セッションの前後および12週間のトレーニングプログラムの後に、fMRI脳スキャンおよびワーキングメモリテストを受けた。 研究者らは、適度な強度の身体活動の単一セッション後に認知および機能的脳の連結性において最大の改善が見られた人々もまた、認知および連結性において最大の長期的増加を示したことを見出した。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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