希少脳細胞を一網打尽 - アルツハイマー病の新たな手掛かり
サイエンス出版部 発行書籍
一滴の雨は海の中では検出不可能です。塩水の入った桶の中でも見つけられないでしょう。しかし、非常に精密なセンサーを備えた一つの容器で全海水を掬い取れば、突如としてその一滴の雨を特定できるようになります。脳内の希少な細胞種を追跡することも同様に難しい課題でした。しかし、そうした希少細胞の一部に変化があれば、アルツハイマー病をはじめとする様々な疾患に関連している可能性があります。そうした希少細胞を見つけて研究できれば、脳の解析や疾患介入において新たな地平が開けるかもしれません。
2023年11月30日付けのNature Geneticsに掲載された論文で述べられているように、ロックフェラー大学の遺伝学者ジュンユー・カオ博士とその同僚らが、マウス脳全体を一度に走査してこれらの秘密の細胞を見つける、低コストでハイスループットな手法を開発しました。150万個の細胞を捉え、さらに多くの細胞を取り込むことができるこのデジタルの「桶」です。
オープンアクセスの論文タイトルは「A Global View of Aging and Alzheimer's Pathogenesis-Associated Cell Population Dynamics and Molecular Signatures in Human and Mouse Brains」(加齢およびアルツハイマー病の病態発生に関連する細胞集団の動態および分子シグネチャーに関する人間およびマウス脳の全体像)です。
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