アルツハイマー病とHSV-1の意外な関係—タウタンパク質の新たな役割とは?

アルツハイマー病とHSV-1の意外な関係—タウタンパク質の新たな役割とは?

サイエンス出版部 発行書籍

アルツハイマー病とHSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)の意外な関連を発見—脳の免疫応答がカギに ピッツバーグ大学の研究チームとその共同研究者らは、アルツハイマー病と単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)との意外な関連性を明らかにしました。この研究成果は、2025年1月2日にCell Reports誌に掲載されました。論文タイトルは、「Anti-Herpetic Tau Preserves Neurons Via the cGAS-STING-TBK1 Pathway in Alzheimer’s Disease」(抗ヘルペス作用を持つタウがcGAS-STING-TBK1経路を介してアルツハイマー病における神経細胞を保護する)」です。 また、本研究では、アルツハイマー病の原因とされるタウ(tau)タンパク質が、初期には脳をウイルスから保護する役割を果たす可能性がある一方で、後に神経変性を引き起こす可能性があることも示されました。これらの知見は、感染症と脳の免疫応答を標的とした新たな治療法の開発につながる可能性があります。 タウタンパク質の二面性とウイルス感染の影響 「本研究は、タウタンパク質が単に有害なものではなく、脳の免疫防御の一部として機能する可能性があることを示しています」と、本研究の責任著者であり、ピッツバーグ大学眼科学部(Department of Ophthalmology, University of Pittsburgh)助教授のオル・シェメシュ博士(Or Shemesh, PhD)は述べています。「この発見は、感染症、免疫応答、神経変性の複雑な相互作用を強調し、新たな治療標的の可能性を提供します。」 研究チームは、アルツハイマー病患者の脳サンプルからHSV-1関連タンパク質を特定し、そのウイルス性タンパク質がリン酸化タウ(アルツハ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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