脳を保護し感染や炎症を監視する脳の構成要素が発見された
サイエンス出版部 発行書籍
神経ネットワークの複雑さから基本的な生物学的機能・構造に至るまで、人間の脳はその秘密を不本意ながら明らかにしてくれるに過ぎない。神経イメージングと分子生物学の進歩により、科学者らはつい最近、生きた脳をこれまで達成できなかったレベルで詳細に研究し、その謎の多くを解き明かすことができるようになった。今回発見されたのは、これまで知られていなかった脳の構成要素で、脳を保護するバリアとして、また免疫細胞が脳に感染や炎症が起きないかどうかを監視するプラットフォームとして機能していることが、2023年1月5日付の米科学誌サイエンスに発表された。この論文は「クモ膜下腔を機能的に分割する中皮膜(A Mesothelium Divides the Subarachnoid Space into Functional Compartments)」と題されている。 この新しい研究は、ロチェスター大学およびコペンハーゲン大学のトランスレーショナル神経医学センターの共同ディレクターであるマイケン・ネーデルガード医学博士と、コペンハーゲン大学の神経解剖学教授であるシェルド・ムルゴード医学博士の研究室から発表されたものだ。ネーデルガード博士とその同僚らは、人間の脳の基本的な仕組みに関する理解を一変させ、神経科学の分野に重要な発見をした。その中には、これまで見落とされていたグリアと呼ばれる脳の細胞の多くの重要な機能や、グリンパティックシステムと名付けられた脳独自の排泄プロセスの詳細が含まれている。 ネーデルガード博士は、「脳内とその周辺の脳脊髄液(CSF)の流れを分離して制御する新しい解剖学的構造が発見されたことで、CSFが脳からの老廃物の輸送と除去だけでなく、脳の免疫防御をサポートするという高度な役割を果たすことが、より明確になった」と述べている。 この研究では、体の他の部分とバリアを作り、脳脊
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