2014年9月30日、National Institutes of Health (NIH) は、Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies (BRAIN) Initiativeの目標を支援するため、2014年度分として総額4,600万ドルを同Initiativeに投資すると発表した。このInitiativeでは米国内15州と海外数か国の100人を超える研究者が、神経回路機能を理解し、脳の活動をダイナミックに捉える新しいツールとテクノロジーを開発するため共同で研究を行うことになっている。

 

世界保健機関は、世界中で10億人の人が困難な脳障害、脳疾患に苦しんでいると推定している。この研究で新しいツールとより深い理解が得られれば、いつかそのような脳の障害や疾患に新しい処置や治療が生み出される可能性もある。NIHのDirector、Francis S. Collins, M.D., Ph.D.は、「人間の頭脳は知られている限りでもっとも複雑な生物学的構造をしている。脳機能の原理についてはまだほんの表面をひっかいた程度の知識しか手に入れていない。


また、障害や疾患があると脳が正しく働かなくなる原理についてもまだほとんど分かっていない。私たちが脳の研究でしたいことと、それを可能にする技術の間には現在のところ大きなギャップがある。今回の研究資金は、脳の理解をさらに次の段階に引き上げるために必要なツールと技術の開発を中心に据えた科学研究、12年計画の初回資金だ。これは野心的な研究事業の手始めであり、将来の可能性を考えれば期待が広がるばかりだ」と語っている。

動作中の人間の脳の動きを画像化するためウエアラブル・スキャナーを創り出すこと、神経細胞の発火をガイドするためにレーザーを使うこと、活動中の神経系全体を記録すること、特定の神経回路を電波で刺激すること、複雑な神経回路をDNAバーコードで特定することなど58件のプロジェクトが発表された。
研究助成金の大部分は基礎的神経科学研究を促進する変革的な技術の開発に主眼を置いており、いくつかの例を挙げると、無数にある脳の細胞タイプの分類、脳細胞と回路の解析に用いるツールとテクニックの開発、次世代脳画像技術、脳活動大規模記録手段開発、実験と理論の統合、脳の特定回路機能理解のモデル化などがある。

NIHのNational Institute of Mental Health (NIMH) のDirector、Thomas R. Insel, M.D.は、「人間の脳の何十億という数の細胞がどのようにして私たちの思考、感情、行動を制御するのか、BRAIN Initiativeの目的はそれらを解明することにある。それを理解することで、脳障害・脳疾患が将来の保健問題に与える難問を解く助けになるだろう」と語っている。

NIH BRAIN Initiativeが研究資金を援助する研究者は、数多くのニューロンのそれぞれ独自の発火パターンを同時に観察するツールを開発し、各ニューロンのサイズ、形などの物理的特性、電気活動パターンなどの機能特性などの分類ができることを期待している。
クレジット: John B. Pierce Laboratory, Inc.、Pieribone, Ph.D.。

昨年、オバマ米大統領はBRAIN Initiativeを発足させた。この制度は、研究者が、アルツハイマー、統合失調症、自閉症、てんかん、脳外傷など様々な脳障害・脳疾患の治療に必要な前提となる理解を獲得するための大規模な活動である。NIH、National Science Foundation、Food and Drug Administration、Defense Advanced Research Projects Agencyの政府4機関は、「grand challenge」に挑み、2014年度には、同Initiativeに対して1億1,000万ドルを超える資金援助を約束している。
RAIN IntiativeのNIHコンポーネントの計画立案は、7種の最優先研究分野を詳述した長期科学計画「BRAIN 2025: A Scientific Vision」 ( http://www.braininitiative.nih.gov/2025/index.htm )をガイドラインとしている。

その後、2014年9月30日にはホワイト・ハウスが主催者となってBRAIN Initiative会議を開き、この野心的かつ重要な研究制度をサポートする連邦、民間部門の新規出資計画が発表された。NIHのNational Institute of Neurological Disorders and StrokeのDirector、Story Landis, Ph.D.は、「現在は脳研究の重要な転機にあり、いくつかの大胆なプロジェクトも、自然科学者、エンジニアと共同研究に加わる神経学の分野の有能な研究者が提案したものだ」と述べている。
BRAIN Initiativeに関する詳細案内は次のウエブサイトを閲覧のこと: http://www.braininitiative.nih.gov 
写真提供はVincent Pieribone, Ph.D., John B. Pierce Laboratory, Inc.

■原著へのリンクは英語版をご覧ください: NIH Announces $46 Million Initial Funding of BRAIN Initiative

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