人工腎臓開発の新しい里程標

人工腎臓開発の新しい里程標

サイエンス出版部 発行書籍

Wake Forest Baptist Medical Centerの再生医療研究チームは、研究室内で人工腎臓をつくり出す研究で大きな難関を一つ乗り越えた。研究チームは、ヒトの腎臓とほぼ同じ大きさのブタの腎臓を実験に用い、新しい臓器の血管に長時間にわたって血液を流し続けることに成功、この分野の研究に新地平を切り開いた。   この研究論文は2014年9月3日付TECHNOLOGYオンライン版に掲載されている。 Wake Forest Institute for Regenerative MedicineのDirector兼Professorで、この論文の首席著者を務めるAnthony Atala, M.D.は、「これまで研究室レベルで作られた腎臓というとラットの腎臓サイズまでで、しかも移植直後から血液凝固が進むため、わずか1時間か2時間しか機能しなかった。私たちの概念実証 (proof-of-concept) 研究では、人間のとほぼ同じ大きさのブタの腎臓の血管を4時間の実験時間中常に開いたままにしておくことができた。 現在はいつまで血流を維持できるかを計る長時間試験に入った」と述べている。この研究が成功すれば、血管内壁に (内皮) 細胞を付着させるのにこれまでより効果的な新しいコーティング方法を用いて長期間スムーズな血流を維持できるようになり、今も多くの科学者が研究を続けている肝臓や膵臓その他の複雑な臓器にも適用できる可能性がある。現在進められている研究は長期的なプロジェクトの一部で、腎臓病末期患者の代替腎臓を作る土台になる「scaffold」と呼ばれる支持構造を作るためにブタの腎臓を使っている。研究者はまず臓器から動物細胞をすべて取り除き、「skeleton」と呼ばれる臓器構造だけを残す。その後、患者の細胞を「scaffold」の中に植え込む。こうしてできた臓器を患

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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