神経幹細胞は脳だけではなかった!手足や肺にも存在、再生医療に新たな希望
脳や脊髄を再生する鍵「神経幹細胞」。この重要な細胞は、これまで脳と脊髄という、厳重に守られた「聖域」にしか存在しないと考えられてきました。しかし、もしあなたの手足や肺といった、もっと身近な場所にも、この“万能細胞”が眠っているとしたら…?科学の常識を覆す、驚くべき発見が、再生医療に新たな扉を開こうとしています。 前例のない国際共同研究において、香港大学LKS医学部(HKUMed)の研究者たちは、マックス・プランク分子生物医学研究所との協力により、実験用マウスの中枢神経系の外に位置する、これまで知られていなかった新しいタイプの神経幹細胞を発見しました。これは、「神経幹細胞は脳と脊髄に限定される」という長年の定説に挑戦するものであり、神経疾患や外傷を治療する再生医療において、変革的な可能性を開くものです。この発見は『Nature Cell Biology』誌に掲載され、『Nature』誌によって過去1年間の「幹細胞・発生生物学の一年」コレクションにも選ばれました。2025年4月10日に発表されたこのオープンアクセスの論文タイトルは「Multipotent Neural Stem Cells Originating from Neuroepithelium Exist Outside the Mouse Central Nervous System(神経上皮に由来する多能性神経幹細胞はマウス中枢神経系の外に存在する)」です。 何十年もの間、科学者たちは、哺乳類の神経幹細胞(中枢神経系の発達に不可欠な、自己複製能と様々な細胞になる能力を持つ多能性細胞)は、中枢神経系の中にのみ存在すると信じてきました。しかし、HKUMed生物医科学系の研究助教であるハン・ドン博士(Han Dong, PhD)と、同教授でありInnoHKトランスレーショナル幹細胞生物学センターのマネージングデ
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Edited by Michael D. O'Neill

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