私たちの祖先はいつから感染症に苦しんでいた?6,500年前のDNAから探る病気の歴史
近年の新型コロナウイルスのように、動物から人へとうつる感染症は、いつから私たちの脅威となったのでしょうか?その答えは、数千年前の私たちの祖先の骨や歯に刻まれていました。古代人のDNAを解析するという驚くべき手法で、人と動物との関わりがいかにして私たちの健康を永遠に変えてしまったのか、感染症の壮大な歴史を解き明かした最新の研究をご紹介します。 コペンハーゲン大学およびケンブリッジ大学の教授であるエスケ・ウィラースレフ教授(Eske Willerslev)が率いる研究チームは、ユーラシア大陸の先史時代の人骨から、214種類もの既知のヒト病原体の古代DNAを回収することに成功しました。この研究により、近年の新型コロナウイルスのように動物からヒトに感染する人獣共通感染症の最も古い証拠が約6,500年前に遡ること、そして約5,000年前にその感染がより広範囲に拡大したことなどが示されました。これは感染症の歴史に関するこれまでで最大規模の研究であり、2025年7月9日付の科学誌Natureに掲載されました。このオープンアクセスの論文のタイトルは「The Spatiotemporal Distribution of Human Pathogens in Ancient Eurasia(古代ユーラシアにおけるヒト病原体の時空間分布)」です。 研究者たちは、中には37,000年前にまで遡るものも含む、1,300人以上の先史時代の人々のDNAを分析しました。これらの古代の骨や歯は、細菌、ウイルス、寄生虫によって引き起こされる病気の発達について、他に類を見ない洞察をもたらしてくれました この結果は、人類が家畜と密接に共存するようになったこと、そしてポントス草原からの牧畜民による大規模な移住が、これらの病気の拡大に決定的な役割を果たしたことを示唆しています。 「私たちは長い間、農耕
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Edited by Michael D. O'Neill

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