肝炎Eウイルスが神経細胞を直接感染—神経疾患との関連を解明

肝炎Eウイルスが神経細胞を直接感染—神経疾患との関連を解明

サイエンス出版部 発行書籍

B型肝炎ウイルスが神経細胞を直接感染—神経疾患との関連を解明する新モデルを開発 ドイツのルール大学ボーフム(Ruhr University Bochum)の研究チームは、A型肝炎ウイルス(HEV)が神経細胞を直接感染し、免疫応答を回避することを証明した。この研究により、HEV感染がギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome)や神経障害性筋萎縮(neuralgic amyotrophy)などの神経疾患と関連している可能性が示唆された。研究論文は2024年11月15日付の PNAS に掲載された。 HEVとは?—主に肝臓を標的とするが、神経細胞にも影響 HEV(肝炎Eウイルス)は、急性肝炎の主要な原因ウイルスであり、毎年約70,000人がこのウイルスによって死亡している。通常、健康な免疫系を持つ人では自己治癒するが、免疫抑制状態の患者(臓器移植患者やHIV感染者など)では慢性化する可能性がある。また、妊婦では重症化のリスクが高い。 これまでの研究では、HEVが神経系に及ぼす影響についての詳細なメカニズムは解明されていなかった。 研究によると、HEV感染者のうち最大11%がギラン・バレー症候群や神経障害性筋萎縮などの神経疾患を併発する ことが確認されている。しかし、HEVがどのように神経細胞を標的とするのかは不明だった。 HEVは神経細胞を直接感染する—新しい細胞モデルで証明 ミシェル・ヤグスト(Michelle Jagst, 研究筆頭著者) や アイケ・シュタインマン教授(Professor Eike Steinmann) らの研究チームは、HEVと神経細胞の相互作用を調べるための新しい細胞モデルを開発 した。 研究の手法 1. ヒト腎細胞(尿中に排出される細胞)を用いて、人工的に神経細胞へと分化させる2. この初代神経細胞(i

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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