なぜ子供はCOVID-19にかかりにくいのか?その鍵となるファクターが特定された。

なぜ子供はCOVID-19にかかりにくいのか?その鍵となるファクターが特定された。

ヴァンダービルト大学医療センター(VUMC)の研究者らは、 COVID-19 が成人や高齢者に優先的に感染して発症する一方で、幼い子供には感染しにくいように見える理由について鍵となるファクターを特定した。 COVID-19を引き起こすRNAウイルスであるSARS-CoV-2が、肺の気道上皮細胞に侵入するのに必要な酵素/補助受容体であるTMPRSS2(画像)のレベルが大人より子供の方が低くかった。2020年11月12日にJournal of Clinical Investigationにオンラインで公開された調査結果は、高齢者のCOVID-19を治療または予防する為に、この酵素をブロックする取り組みを支持している。 この論文は「年齢によって決定されるプライミングプロテアーゼTMPRSS2の発現と肺上皮におけるSARS-CoV-2の局在(Age-Determined Expression of Priming Protease TMPRSS2 and Localization of SARS-CoV-2 in Lung Epithelium.)」と題されている。



「我々の研究は、特に乳児や非常に幼い子供が感染したり、重篤な病気の症状を示したりする可能性が低いと思われる理由の生物学的根拠を提供するものだ。」と、Jonathan Kropski 医学博士とこの研究を主導した小児科(新生児学)の助教授であるJennifer Sucre 医学博士は述べている。Sucre博士とKropski博士は、この論文の共著者であり、 VUMCの小児科および遺伝学のレジデントであり、博士研究員であるBryce Schuler 医学博士が、この論文の筆頭著者だ。

SARS-CoV-2について学ぶことはまだたくさんあるが、よく知られているのは、ウイルス粒子が肺に吸入された後、ウイルス体から突き出るタンパク質の「スパイク」が、特定の肺細胞の表面にある受容体であるACE2に付着する。 TMPRSS2(膜貫通プロテアーゼセリン2)と呼ばれる酵素がスパイクタンパク質を切断し、ウイルスが細胞膜に融合して細胞に「侵入」できるようにする。 中に入ると、ウイルスは細胞の遺伝子機構を乗っ取りウイルスRNAのコピーを作成する。
2016年より未熟児と成人の肺疾患の研究で協力しているSucre 博士とKropski 博士は、TMPRSS2が子供と比較して高齢者で観察されるCOVID-19症状の重症度と関係があるのではないかと考えた。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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