既存の医薬 (Ouabain) がエボラ・ウイルスに効果を持つ可能性
サイエンス出版部 発行書籍
University of Liverpoolの研究チームが、Public Health Englandと協力し、エボラ・ウイルス感染治療に適用可能な医薬を判定する新しい手法を探っている。この研究チームは、エボラ・ウイルスが機能するためには細胞内のタンパク質が重要な役割を果たしており、エボラ・ウイルスがこのタンパク質を乗っ取り、感染を手伝わせる機序に注目している。 そのようなタンパク質の一つがVP24と呼ばれるもので、ウイルスに感染した人の細胞内ではこのタンパク質が細胞の信号を妨害することで免疫系を妨害し、結果的にウイルスとの戦いを妨害している。ウイルスに協力する細胞タンパク質を突き止めれば、このような特定のタンパク質の機能を阻止できる既存の医薬を探せばいいということになる。そのような医薬の一つがouabainというもので、心臓疾患の治療に用いられている。細胞にこの医薬を投与すると、その細胞内でエボラ・ウイルスの複製が減るという結果が出た。 この研究は、同大学のInstitute of Infection and Global HealthのProfessor Julian HiscoxとPublic Health England (PHE) のProfessor Roger Hewsonが主導して進めた。ウイルスにとって重要な細胞タンパク質の働きを阻害するという手法は医薬耐性の問題にも対応できる可能性がある。Professor Hiscoxは、「私たちの研究で、既存の治療法を抗ウイルス治療に再利用する可能性が実証された。実績のある既存の医薬を他の目的に転用できれば膨大な開発期間を短縮し、それだけより多くの人命を救うことにもなる」と述べている。また、医薬耐性という問題にも対応できる可能性とは、インフルエンザ・ウイルスやHIV感染の治療ではウイルス・タンパク質を標的
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