極めて長い尾を持つ“ラプンツェル”バクテリオファージの構造が示す進化論的な奇妙さ
サイエンス出版部 発行書籍
2023年2月13日にJournal of Biological Chemistry誌に掲載された最新の研究により、進化の驚異である非常に長い尾を持つバクテリオファージの秘密が明らかになった。この驚異的な尾は、人間を寄せ付けない温泉地に生息し、地球上で最も手強い細菌を捕食するバクテリオファージの一種である。バクテリオファージは、細菌に感染して複製するウイルス群で、地球上で最も一般的で多様なものである。「バクテリオファージ、略してファージは、あなたの周りの土や水、そしてあなた自身の体の微生物生態系も含めて、バクテリアがいるあらゆる場所に存在している。」と、UMass Chan医科大学の大学院生で、この研究の主執筆者のエミリー・アグロ氏は言う。 このJBCの論文は「コンフォメーションダイナミクス制御による超長尺バクテリオファージ尾部チューブの構築(Conformational Dynamics Control Assembly of an Extremely Long Bacteriophage Tail Tube)」と題されている。 ファージは、ヒトや動物に感染する多くのウイルスが1つの区画しか持たないのとは異なり、核酸を含むトゲトゲのようなプリズム状のタンパク質の殻に尾が付いた構造になっている。 ファージの尾は、髪型のように長さやスタイルが様々で、長くて弾むようなものもあれば、短くて硬いものもある。ほとんどのファージが短くて微細な尾を持つのに対し、「ラプンツェル・バクテリオファージ」P74-26の尾は他のファージの10倍も長く、長さは1マイクロメートル近く、蜘蛛の糸の幅ほどもある。 「ラプンツェル」という名前は、髪の非常に長い少女が悪い魔女によって塔に閉じ込められたというおとぎ話に由来している。 この研究を監督したUMass Chanの生化学・分子生物学准教授で
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