北極海の微生物から耐性進化リスクを抑える新抗毒性薬を発見

北極海の微生物から耐性進化リスクを抑える新抗毒性薬を発見

サイエンス出版部 発行書籍

抗毒性薬の新たな可能性を探る:北極海からの発見 抗生物質は現代医学の基盤として欠かせない存在です。例えば、手術や外傷治療の際、抗生物質がなければ命に関わる感染症のリスクが飛躍的に高まります。しかし、現在、抗生物質に対する耐性菌の出現が深刻化し、新しい抗生物質の発見ペースが遅いことから、世界的な「抗生物質危機」が問題視されています。その中でも希望の兆しがあります。現在使用されている抗生物質の約70%は土壌に生息する放線菌由来であり、地球上の多くの環境はまだ探索されていません。このため、異なる生息地における放線菌をターゲットにした探索が新たな戦略として注目されています。 特に注目されるのは、抗菌作用そのものではなく、病原菌の「毒性」—病気を引き起こす能力—を低下させる新しい分子を探す方法です。こうした分子は、直接菌を殺したり成長を抑えたりせず、耐性の進化を抑える可能性が高いだけでなく、副作用も少ないと考えられています。 フィンランド・ヘルシンキ大学の教授であり今回の研究の責任著者であるペイヴィ・タメラ博士(Päivi Tammela, PhD)は、この課題に取り組む新たな研究を発表しました。同氏らの研究は、2024年8月30日にFrontiers in Microbiology誌で公開され、「Bioprospecting of Inhibitors of EPEC Virulence from Metabolites of Marine Actinobacteria from the Arctic Sea(北極海産放線菌代謝物からのEPEC毒性抑制剤の生物探索)」と題されています。 北極海の放線菌から新たな発見 「今回の研究では、放線菌の抽出物から毒性抑制および抗菌作用を持つ代謝物を同定するための高度なスクリーニング手法を示しました」とタメラ博士は説明します。「特

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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