海洋細菌の新たな防御戦略—tRNAレベルの低下がウイルス感染を阻止

サイエンス出版部 発行書籍
海洋細菌をウイルスから守る新たなtRNA依存型防御メカニズムを発見 私たちはウイルスや細菌を病気の原因として捉えることが多いですが、実は、細菌とバクテリオファージ—細菌を特異的に感染するウイルス—の絶え間ない攻防も科学的に非常に興味深い現象です。特に海洋では、ウイルス感染が細菌の主要な死因となることがあり、この戦いは細菌とウイルスの共進化を促す重要な要因となっています。細菌が進化の過程で防御メカニズムを獲得してこなければ、すでに海洋の細菌群は絶滅していたかもしれません。このたび、イスラエル工科大学(テクニオン)生物学部の研究者らは、細菌がtRNAレベルを低下させることでウイルス感染を防ぐ新たな受動的防御メカニズムを発見しました。本研究は、2025年1月3日にNature Microbiology誌に掲載されました。論文タイトルは、「Adaptive Loss of tRNA Gene Expression Leads to Phage Resistance in a Marine Synechococcus cyanobacterium」(tRNA遺伝子発現の適応的低下が海洋シネココッカス属シアノバクテリアにおけるファージ耐性を誘導する)」です。 海洋細菌シネココッカスのtRNA量低下によるウイルス耐性 本研究は、海洋シアノバクテリア「シネココッカス」と、それを感染するバクテリオファージ「Syn9」の相互作用に焦点を当てています。 シネココッカスは光合成によって酸素を生産する原核生物であり、海洋の食物連鎖の基盤を形成する重要な一次生産者です。しかし、もしウイルスに対する防御メカニズムを持っていなければ、バクテリオファージの脅威によって絶滅していた可能性があります。 今回、テクニオンの研究チームは、シネココッカスがtRNA(転移RNA)のレベルを低下させるこ
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