ネズミがSARS-CoV-2のアルファ、デルタ、オミクロン変種に感染しやすく、ニューヨーク市の市営下水道などにいる野生のネズミがSARS-CoV-2に曝露していることが、新たな研究で明らかになった。本研究は、2023年3月9日、米国微生物学会のオープンアクセスジャーナルであるmBio誌に掲載された。この論文は「ニューヨーク市産ドブネズミ(Rattus norvegicus)におけるSARS-CoV-2曝露について/SARS-CoV-2 Exposure in Norway Rats (Rattus norvegicus) from New York City」と題されている。

ミズーリ大学のインフルエンザ・新興感染症センター教授兼センター長である研究代表者のヘンリー・ワン博士は、「今回の発見は、ヒトへの二次的な人獣共通感染症の可能性について、ネズミ集団におけるSARS-CoV-2をさらに監視する必要性を強調している」と語っている。「この分野での我々の研究は、動物がパンデミックに影響を与える可能性があることを示している。我々は、人と動物の両方の健康を守るために、さらなる理解が必要だと考えている。」

ネズミは、米国の都市部に広く分布している。例えば、ニューヨーク市だけでも約800万匹の野生のネズミが生息している。これらの野生のネズミは、人間と接近する機会が十分にある。アジア(香港)とヨーロッパ(ベルギー)のネズミがSARS-CoV-2に暴露されたことを示唆する2つの先行研究があるが、これらのネズミがどちらの研究でもどのSARS-CoV-2変異型に暴露されたかは不明だ。

今回の研究では、ヒトのSARS-CoV-2ウイルスが米国の都市部、特にニューヨークのネズミ集団に感染しているかどうか、また感染している場合、どのSARS-CoV-2変異型がそれらの感染を引き起こしたかを明らかにすることを目的とした。また、ニューヨークのSARS-CoV-2変異型がネズミに感染症を引き起こすかどうか(どの変異型か)を明らかにすることも目的とした。

「2021年秋、米国農務省(USDA)動植物衛生検査局(APHIS)は、SARS-CoV-2感染の証拠を探すために、ニューヨーク市のドブネズミ(Rattus norvegicus)をサンプリングした。」と研究共著者のトム・デリバート博士(USDA APHIS野生動物サービス)は述べた。「9月と11月に、ニューヨーク市公園・レクリエーション局の許可を得て、下水道周辺の場所とその周辺で2回の捕獲作業が行われた。ネズミのほとんどはブルックリン内の都市公園で捕獲されたが、一部は公園の境界線外の建物付近で捕獲された。」

生物学者は、ウイルス学的研究とゲノム配列決定のために79匹のネズミからサンプルを収集した。研究者らは、ネズミがSARS-CoV-2にさらされ、COVID-19パンデミックの初期段階でヒトに循環していたウイルスとの関連性の可能性を示したことを発見した。具体的には、79匹のネズミのうち13匹(16.5%)が陽性と判定された。「我々の知る限り、これは、SARS-CoV-2変異型が米国の主要都市部の野生のネズミ集団に感染を引き起こす可能性があることを示した最初の研究の1つだ。」とワン博士は述べている。

SARS-CoV-2変異型に対するネズミの感受性をさらに調べるため、ウイルスチャレンジ試験を実施し、アルファ、デルタ、オミクロン変異型(ヒトに見られる変異型)がネズミ(野生型Sprague Dawley Rat)に感染を起こし、上下気道での高い複製レベル、自然免疫および適応免疫反応の誘導などを示すことが明らかになった。感染症に対する感受性は、変異体の種類によって異なるという。

「我々の発見は、SARS-CoV-2が動物の中で循環し、ヒトにリスクをもたらす可能性のある新しい株に進化しているかどうかを判断するために、ネズミ集団におけるSARS-CoV-2をさらに監視する必要性を強調する。」「SARS-CoV-2ウイルスは健康上の問題を引き起こし、完全に理解するには、共同、多部門、および学際的なアプローチが必要だ。」と述べている。

[News release] [mBio article]

 

 

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