結核菌の「異常な成長」発見—免疫回避と耐性の謎に迫る
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サイエンス出版部 発行書籍
結核菌が「細菌学の常識」を覆す―新たに発見された成長の仕組み 世界保健機関(WHO)が再び「世界最悪の感染症」と位置づけた結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、単細胞生物でありながら、生涯を通じて一定の成長速度を維持するという驚くべき特性を持つことが明らかになった。この発見は、タフツ大学医学部の研究者らによって2024年11月15日付の学術誌『Nature Microbiology』に報告された。論文タイトルは 「Single-Cell Imaging of the Mycobacterium tuberculosis Cell Cycle Reveals Linear and Heterogenous Growth(単一細胞イメージングによる結核菌の細胞周期の解析が示す線形かつ不均一な成長)」 である。 本研究は、細菌の細胞生物学における根本的な考え方を覆すものであり、結核菌がなぜ免疫系を巧みにすり抜け、抗生物質に対して高い耐性を示すのかを理解する手がかりとなる可能性がある。 結核菌は「細胞成長のルール」を無視する? 「細菌の最も基本的な研究テーマは、いかにして細胞が成長し、分裂するかという点です。しかし、我々の研究は、結核菌が一般的なモデル生物とは全く異なるルールに従っていることを示しました」と、タフツ大学医学部の分子生物学・微生物学教授であり、バイオメディカルエンジニアリング教授でもある ブリー・オルドリッジ博士(Bree Aldridge, PhD) は語る。本研究の共同責任著者には、イスラエル・ワイツマン科学研究所の アリエル・アミール博士(Ariel Amir, PhD) も名を連ねている。 結核菌の成功の秘訣は、その特殊な生存戦略にある。感染した宿主内で一部の細胞が急速に進化し、治療を回避する能力を獲得するのだ。
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