カビ感染が免疫系を操作し脳細胞を自己破壊させるメカニズム解明

カビ感染が免疫系を操作し脳細胞を自己破壊させるメカニズム解明

サイエンス出版部 発行書籍

敵か味方か?カビ感染が免疫系を欺き、脳細胞を破壊させるメカニズムを解明 私たちの免疫システムは、体を守るための精鋭部隊です。しかし、もしその部隊が敵の策略にはまり、自らの「城」、つまり脳を攻撃し始めたらどうなるでしょうか?驚くべきことに、ある種のカビ(真菌)に感染すると、ショウジョウバエの免疫系が自身の脳細胞を破壊し、神経変性のような兆候を引き起こすことが新たな研究で明らかになりました。この発見は、感染症がどのようにして脳に影響を与えるか、そして免疫系が時に予期せぬ振る舞いをするのかについて、新たな視点を提供します。 真菌感染が、ショウジョウバエ自身の免疫系を引き金にして脳細胞を破壊させ、神経変性(neurodegeneration)の兆候につながることが、新しい研究で示されました。2025年2月13日にPLOS Biology誌に掲載されたこの論文によると、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana, B. bassiana)と呼ばれる真菌が、ショウジョウバエの自然免疫系に、脳内のニューロンとグリア細胞(glia)を殺すプロセスを引き起こさせることがわかりました。これにより、感染したショウジョウバエの半数以上が7日後に死亡したのに対し、対照群の半数は約50日間生存しました。このオープンアクセスの論文タイトルは「Toll-1-Dependent Immune Evasion Induced by Fungal Infection Leads to Cell Loss in the Drosophila Brain(真菌感染によって誘導されるToll-1依存性の免疫回避がショウジョウバエ脳における細胞喪失を引き起こす)」です。 英国バーミンガム大学の研究チームが行った実験では、ショウジョウバエが感染チャンバー内でボーベリア・バシアーナに曝露されま

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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