ナグレリアウイルスの発見:致命的なアメーバ感染症の新たな解明
サイエンス出版部 発行書籍
温かい水中で生息する単細胞生物、ネグレリア・フォウレリ。致死的な脳感染症を引き起こすこの微生物を感染させるウイルスが発見されました...!
ネグレリア・フォウレリは、人間にとって最も致命的な寄生虫の一つです。ウィーン大学のマイクロ生物学・環境システム科学センター(CeMESS)のマティアス・ホルン博士(Matthias Horn, PhD)とトリック・アルトホーファー博士(Patrick Arthofer, PhD)の研究チームは、国際的な協力のもと、この有害な微生物に感染するウイルスを発見しました。これらのウイルスはNaegleriavirus(ナグレリアウイルス)と名付けられ、巨視的ウイルス(ジャイアントウイルス)に属します。この研究成果は2024年4月24日にNature Communications誌にて公開されました。論文タイトルは「A Giant Virus Infecting the Amoeboflagellate Naegleria(アメーバフラジェレートNaegleriaを感染させる巨視的ウイルス)」です。
ネグレリア属は、世界中の水域に存在する単細胞アメーバです。特に、ネグレリア・フォウレリは30°C以上の温かい水域で繁殖し、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)という稀でほぼ致命的な脳感染症を引き起こします。ウィーン大学CeMESSのアートホーファー博士とホルン博士率いる研究チームは、様々なネグレリア種に感染する巨視的ウイルスを分離しました。
巨視的ウイルス(Nucleocytoviricota)は、わずか20年前に発見されたウイルス群で、主に単細胞生物に感染します。これらのウイルスは、細菌に匹敵する大きさを持ち、以前は細胞生命に特有と考えられていた独自の構造と遺伝的特性を備えています。彼らの発見は、ウイルスの定義や生命の起源に関する議論を引き起こしました。
「新たに発見されたナグレリアウイルスは、ウィーン近郊のクロスターネウブルクにある廃水処理場から分離され、このグループの中ではわずか4番目の分離株となります」とアートホーファー博士は述べています。この発見とナグレリアウイルスの特性解析は、ポワティエ大学、カナリア諸島の大学、米国のJoint Genome Institute(共同ゲノム研究所)の研究者との国際協力によって可能となりました。
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