海洋バクテリアがミトコンドリアの起源
サイエンス出版部 発行書籍
地球上で最も数奇な運命を辿ったバクテリアは海洋に由来し、SAR11グループに属すると考えられてきた。スウェーデンのアップセラ大学の研究者グループが行なった最新の研究によって「数奇な運命」の内容が明らかにされると共に、これらのバクテリアについて従来認められてきた理解の概要に疑問が呈される事となった。彼らの解析によると、新たにこれまで発見されていなかった貴重なミトコンドリアの仲間も同定された。ミトコンドリアは細胞内の発電所の役目を果たしている。 この発見はMolecular Biology and Evolution誌の2011年9月7日号とPloS ONE誌の2011年9月14日号とに発表された。「海から発見される膨大なるDNAの情報により、これまでに研究できなかった世界が少し垣間見る事ができた 。これらのデータから生命の根本的な疑問の答えを見つけるのは非常に素晴らしい。」と分子遺伝学教授で本研究の上席著者であるシブ・アンダーソン博士は話す。SAR11グループに属するバクテリアは海中のバクテリア数の30-40%を占めるため、地球規模炭素循環には重要な役目を担っている。他の場所では、このバクテリアのグループは存在しない。外洋は栄養に乏しいため、SAR11は細胞内に栄養分を少しでも貯め込むために細胞サイズは大変小さくなっている。 ゲノムサイズも小さく、1,500個以下の構成要素しか持たず、これまでの研究ではSAR11は発疹チフス菌を含むバクテリアのグループの仲間であると考えられていた。これらのバクテリアは確かにゲノムサイズは小さいが、ヒト、動物、昆虫などに適合する。しかし、アップセラの研究グループによる進化に関わる新たな研究結果はこれらの見解と異なっており、SAR11バクテリアは、海洋そして陸地に生息する3-10倍大きなバクテリアから進化したと考えられる。最も近縁のバク
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