多発性骨髄腫の薬剤耐性化に対応する新しい手法
サイエンス出版部 発行書籍
癌治療の際に大きな問題となるのが“薬剤耐性”(ADR)である。この耐性に関与するタンパク質をモニターする事が、今まで研究者達の超えられない課題となっていた。しかし、フロリダ州タンパにあるモフィット癌センターの研究チームが、ADRについての理解を深める事につながる、有望なモニタリング技術を開拓しているのだ。さらにこの技術は臨床面でも、多発性骨髄腫患者の個別治療法を開発する際に役立つ。 更には他の種類の癌にも応用出来ると思われる。チームの研究結果は、Molecular and Cellular Proteomics誌の10月号に掲載されたが、オンラインではすでに8月16日に公開されている。「多発性骨髄腫とは、骨髄に悪性腫瘍の出来る難病です」と、分子腫瘍学と実験治療学のアシスタントであり、モフィット・プロテオミクス中核施設のディレクターのジョン・M・クーメン博士は説明する。「多発性骨髄腫患者の化学療法に対する反応は、最初は良いのですが、次第に様々な理由から薬剤耐性が出現してきます。私たちは、患者の状況に応じて治療法を変更できるように、薬剤耐性の獲得過程を診断できるようにしたいのです。」と、博士は続ける。 今回、研究チームがADRに関係しているタンパク質をモニターするために用いた方法は、Multiple Reaction Monitoring液体クロマトグラフィー (LC-MRM)という。これは以前、モフィットのCEOでセンターディレクターであるウィリアムS・ダルトン博士らによって行われた骨髄腫の研究に基づいて開発された。 ADRの数ある要因の一つが、細胞の「アポトーシス機能」の変化である。アポトーシス、またはプログラム細胞死は、外部と内部の刺激の両方に対応する抗アポトーシスとプロアポトーシスの二つのタンパク質の相互作用によって決定される。そしてこの相互作用は、ADRに
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