3億人を脅かすB型肝炎 なぜ感染は持続する?最新研究が解き明かす分子メカニズム

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B型肝炎ウイルス――この小さな侵略者は、世界で3億人もの人々の肝臓に静かに、しかし確実に感染を広げ、時には肝硬変や肝がんといった深刻な病気を引き起こします。ワクチンや治療薬は存在するものの、HBVが細胞の中でどのようにして生き続け、悪さをするのか、その巧妙な「隠れ蓑戦略」の全貌は長年謎に包まれていました。しかし、ついにその一端が明らかになりました。ロックフェラー大学などの共同研究チームが、HBVがまるで宿主の細胞核を「乗っ取る」かのように、自身の遺伝子を活性化させる驚くべきメカニズムを発見したのです。さらに興味深いことに、このウイルスの企みを阻止する鍵が、既存の抗がん剤候補薬にあるかもしれないというのです。2025年2月20日に権威ある科学誌「Cell」に掲載されたこの研究は、B型肝炎治療に新たな光を当てるかもしれません。論文タイトルは「A Nucleosome Switch Primes Hepatitis B Virus Infection(ヌクレオソームスイッチがB型肝炎ウイルス感染を準備する)」です。 「私たちは、HBV遺伝子制御のメカニズムに関する重要な詳細だけでなく、HBVに対する新しい治療ツールへの有望な道筋も発見できたことを大変嬉しく思います」と、ロックフェラー大学ゲノム構造・動態研究室長のヴィヴィアナ・I・リスカ 博士(Viviana I. Risca, PhD)は述べています。 鶏が先か、卵が先かの問題 B型肝炎感染は、生物学的なパラドックスを抱えています。研究によると、宿主細胞は、ウイルスタンパク質HBx(エイチビーエックス)によって宿主の防御が打ち消されない限り、ウイルスの遺伝子発現を停止させます。しかし、そのHBxタンパク質は、ウイルスの遺伝子発現なしには産生できません。これはまさに鶏が先か卵が先かの問題であり――HBxは自身を作り
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