UCLAの幹細胞研究チームは ES細胞における5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)によるDNA修飾の全ゲノム解析を世界で最初に完了し、主にオン状態或いは活性化状態の遺伝子上に観察される事を発見した。このUCLAイーディスブロードセンター再生医学・幹細胞研究所とイーライリリーの研究チームによる発見は、ガンのような疾患では、特定の遺伝子を制御する事で疾患をコントロールできる事を明らかにするものと考えられる。「ともかく、遺伝子のコントロールはヒトの疾患とガンに大変有用なのです。

 

ガンは一般的に、腫瘍抑制遺伝子のような遺伝子が不適切に不活性化や変異する事で、或いはオフ状態にあるべき遺伝子がオン状態になる事によって引き起こされます。」とUCLA生命科学部分子・細胞・発生生物学教授のスティーブンE.ヤコブセン博士とハワードヒューズ医学研究所の研究チームは述べる。この研究はGenome Biology誌の7月号に掲載される予定。


5hmCは DNA塩基シトシンにヒドロキシ基のついたメチル基を追加することで生成される。「シトシンに追加されたこのヒドロキシメチル基は、その遺伝子をオンまたはオフにすることが出来る可能性があるため、この分子はエピジェネティクス(DNA配列の変動以外のメカニズムによって起こされる遺伝子発現の変化の研究)において貴重な存在なのです。5hmCはごく最近発見されたため、その機能はいまだ明確に理解されていません。今まで研究者達は5hmCがゲノムのどこに存在するかさえも知りませんでしたが、今ではこの分子がどう機能し、どのような役割を果たしているのか理解することが出来るのです。」と、ジョンソン総合癌センターの研究員でもあるヤコブセン博士は説明する。「私たちは5hmCによってDNAが修飾される事は知っていましたが、ゲノムのどの位置でこの変化が起こっているのかが分かりませんでした。」と述べる博士は、分子遺伝学とDNAメチル化パターンのゲノム研究によってヒトのES細胞のどこに5hmCが存在しているのかを明らかにした。

 5hmCがヒトのES細胞と脳細胞に豊富にあることが分かっていたため、この研究ではヒトのES細胞が使われ、ヤコブセン博士は5hmCが遺伝子に関与していること、そして5hmCが主に 活性化状態の遺伝子に見つかる事を発見した。さらに、5hmCがエンハンサーと呼ばれる、遺伝子発現をコントロールするDNAの調節因子の一種にも 存在している事がわかった。特に、5hmCはヒトのES細胞の性質を定義する上で欠かせないエンハンサーに存在していた。5hmCが遺伝子の活性化を促す役割を果たしているという結果は既に広く知られており、遺伝子の沈静化を促す5mC(DNAメチル化)と反対の役割を果たしている。この二つの分子の関連性は、5hmCが5mCから生成されているという見解に合致している。

「私たちが5hmCの機能を理解することが出来れば、遺伝子がどのようにオンやオフにされるか解明することが出来、それは遺伝子制御をコントロールする方法を開発する事につながるでしょう」とヤコブセン博士は言う。ヤコブセン博士とそのチームは、5hmCがDNAメチル化から生成されゲノムの特定のエリア(例えばエンハンサー)に配置されるメカニズムを明らかにする事を、今後の課題とする。

http://bioquicknews.com/node/554

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