"愛のホルモン" オキシトシンに心臓を癒す作用があることを発見

 "愛のホルモン" オキシトシンに心臓を癒す作用があることを発見

サイエンス出版部 発行書籍

神経ホルモンであるオキシトシンは、社会的な絆を促進し、芸術、運動、セックスなどによる快感を生み出すことで知られている。しかし、このホルモンには他にも多くの機能があり、女性では授乳や子宮収縮の調節、男性では射精、精子輸送、テストステロン産生の調節などを行っている。このたび、ミシガン州立大学の研究者らは、ゼブラフィッシュやヒトの細胞培養において、オキシトシンにはまだ知られていない別の機能があることを明らかにした。オキシトシンは、心臓の外層(心外膜)に由来する幹細胞を刺激して中層(心筋)に移動させ、そこで心筋細胞(心臓の収縮を生み出す筋肉細胞)に成長させるというのだ。この発見は、将来、心臓発作後の心臓の再生を促進するために利用されるかもしれない。   この成果は、2022年9月30日、Frontiers in Cell and Developmental Biologyに掲載された。このオープンアクセス論文は「オキシトシンは心筋傷害後の心外膜細胞の活性化と心臓再生を促進する(Oxytocin Promotes Epicardial Cell Activation and Heart Regeneration After Cardiac Injury)」と題されている。「ここでは、“愛のホルモン”とも呼ばれる神経ペプチドであるオキシトシンが、ゼブラフィッシュとヒトの細胞培養における傷ついた心臓の修復機構を活性化する能力があることを示し、ヒトにおける心臓再生の新しい治療法の可能性への扉を開いた。」と、ミシガン州立大学生体工学科の助教でこの研究の主著者のアイター・アギーレ博士は語っている。 幹細胞のような細胞が心筋細胞を補充することができる 心筋細胞は、心臓発作を起こすと、通常、大量に死滅する。心筋細胞は高度に特殊化した細胞であるため、自己補充することができないのだ。しかし

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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