加齢黄斑変性症の新治療法発見:ヒトiPS細胞を用いた研究から

加齢黄斑変性症の新治療法発見:ヒトiPS細胞を用いた研究から

サイエンス出版部 発行書籍

加齢黄斑変性症(AMD)の進展メカニズムと新たな治療戦略の発見 アメリカで失明の主要原因の一つである加齢黄斑変性症(AMD)。現在の治療法には限界があり、病気の根本的な原因や効果的な治療法は未だ不明な点が多い状況です。しかし、2024年10月2日付けで科学誌Developmental Cellに掲載された新しい研究論文「Human iPSC–Based Disease Modeling Studies Identify a Common Mechanistic Defect and Potential Therapies for AMD and Related Macular Dystrophies(ヒトiPS細胞ベースの疾患モデル研究がAMDおよび関連する黄斑ジストロフィーの共通メカニズム的欠陥と潜在的治療法を特定)」は、この疾患の細胞メカニズムに関する重要な洞察を提供し、新たな治療法の可能性を示しています。 TIMP3: AMD進展に関わる重要なタンパク質 この研究は、ヒトiPS細胞(human-induced pluripotent stem cell, ヒトiPS細胞)を用いてAMDのモデル化を行い、動物モデル研究の限界を克服しました。AMDとより希少な遺伝性盲目疾患である黄斑ジストロフィーに関連する遺伝子を調べることで、病気の初期段階に関与する重要なタンパク質を特定しました。 網膜色素上皮(retinal pigment epithelium, RPE)は、目の奥にある細胞層でAMDにおいて重要な役割を果たします。このRPEでは時間の経過とともに、ドルーゼン(脂質やタンパク質の沈着物)が蓄積し、これはAMDの初期指標として知られています。 研究者らは、組織型メタロプロテアーゼ阻害因子3(TIMP3)というタンパク質がAMDにおいて過剰に産生されること

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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