動物の視覚能力に学ぶ最先端ハイパースペクトルカメラ

動物の視覚能力に学ぶ最先端ハイパースペクトルカメラ

サイエンス出版部 発行書籍

蝶は、人間には見えない光の特性である「偏光」や、さらに広範囲の色を感知する能力を持っています。この特別な能力によって、正確なナビゲーション、餌探し、他の蝶とのコミュニケーションが可能になります。同様に、シャコのような他の生物は、さらに広い光のスペクトルや光波の回転状態(円偏光)も感知し、配偶相手を見つけるための「愛のコード」として利用します。 これらの生物の視覚能力に着想を得たペンシルバニア州立大学工学部の研究チームは、超薄型の光学素子「メタサーフェス」を開発しました。このメタサーフェスは従来のカメラに取り付けることで、撮影した画像や動画に含まれるスペクトルや偏光データを一度にエンコードすることが可能です。このデータは、ナノアンテナのような構造を持つ微細なナノ構造を通じて光の特性を調整する仕組みです。また、研究チームは、標準的なノートパソコンでリアルタイムに多次元の視覚情報をデコードできる機械学習フレームワークも開発しました。 この研究成果は、2024年9月4日にScience Advances誌で公開されました。論文はオープンアクセス形式で、「Real-Time Machine Learning–Enhanced Hyperspectro-Polarimetric Imaging Via an Encoding Metasurface(リアルタイム機械学習によるエンコーディングメタサーフェスを介したハイパースペクトロ偏光イメージング)」というタイトルです。 「動物界が示すように、人間の目には見えない光の特性には、さまざまな応用が可能な情報が隠されています」と、本研究の主導者であるペンシルバニア州立大学の電気工学准教授、ニー・シンジェ博士(Xingjie Ni, PhD)は語りました。「この研究では、メタサーフェスを従来のカメラに統合することで、コンパクトで軽量な

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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