血液脳関門がアリの行動を制御していることが発見された

血液脳関門がアリの行動を制御していることが発見された

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ペンシルヴァニア大学のPerelman School of Medicineの新しい研究によれば、血液脳関門(BBB)が、蟻のコロニーの機能にとって重要な振る舞いを制御するのに重要な役割を果たしていることが明らかにされました。この研究の意味は蟻の世界を超えて広がっており、他の種、特に哺乳類においても類似のメカニズムが存在する可能性を示唆しています。2023年9月7日にCell誌に掲載されたこのオープンアクセスの論文のタイトルは「Hormonal Gatekeeping Via the Blood-Brain Barrier Governs Caste-Specific Behavior in Ants(血液脳関門を通じたホルモンのゲートキーピングが蟻の階級特有の行動を制御する)」です。

蟻をはじめとする多くの生物において、BBBは脳を細菌や有害物質から守る役割を果たす密閉された細胞から成り立っています。この保護的な障壁は、脳や神経系の働きにおいて中心的な役割を果たしています。現在の研究は、シェリー・バーガー博士(Shelley Berger, PhD)率いるペンエピジェネティクス研究所のチームが、シロアリとその独特の階級ベースの行動に焦点を当てて行われました。蟻のコロニー内のこれらの異なる階級(社会的グループ)は、しばしばコロニー内での異なるタスクを遂行し、さらには寿命においても大きな違いがあることがよく知られています。

この研究によれば、シロアリのBBBがJuvenile Hormone(JH3)を分解するための酵素、Juvenile hormone esterase(Jhe)の特殊なバージョンを産生しています。Jhe酵素は、通常、昆虫の血液に放出されるものです。しかし、シロアリのBBBによって産生されたJhe酵素は、BBBの細胞内に保持されていることが研究者らによって発見されました。この局所的に作用する酵素は、働き蟻の脳に取り込まれるJH3の量を制御しているのです。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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