『恐怖の香り』で農作物を害虫から守る新技術がアメリカ化学会秋季大会で発表された

『恐怖の香り』で農作物を害虫から守る新技術がアメリカ化学会秋季大会で発表された

サイエンス出版部 発行書籍

家庭菜園や農家にとって、草食昆虫は彼らの努力や作物の収穫を妨げる大きな脅威となっている。これらの昆虫を捕食する捕食昆虫は、害虫が感知できる匂いを発し、害虫は食べられないように行動を変え、さらには生理的にも変化する。従来の農薬に対する昆虫の耐性が高まる中、このたびペンシルバニア州立大学の研究者らは、捕食者が発する「恐怖の匂い」をボトルに詰めて、刺激の強い物質を使わずに自然に破壊的な昆虫を撃退・撹乱する方法を開発したと報告した。 2021年8月25日、アメリカ化学会の秋季大会(ACS Fall 2021)でその研究成果が発表された。ACS Fall 2021は、2021年8月22日~26日にバーチャルと対面(アトランタ)で開催されたハイブリッド会議で、オンデマンドコンテンツは2021年8月30日~9月30日の間、視聴できる。この会議では、幅広い科学トピックに関する7,000件以上のプレゼンテーションが行われた。 危険な状況を回避するために、感覚を働かせることは珍しいことではない。人間は火事を視覚や嗅覚を使い脅威を察知することができる。獲物となる生物が捕食の脅威を検知できることを示唆する、リスクに対するこのような行動反応の証拠が、分類群を超えて存在しているが、特に昆虫の場合、検知のメカニズムはあまりよくわかっていなかった。 ACSミーティングで研究発表を行ったペンシルバニア州立大学のポスドクのジェシカ・カンズマン博士は、「昆虫は嗅覚の手がかりを頼りに餌や仲間、住む場所を探しているので、この匂いを利用して行動を操作する方法を調査する絶好の機会だ」と述べた。   アブラムシとテントウムシ アブラムシはさまざまな作物に甚大な被害を与える害虫であり、その数の多さ、植物病原菌を媒介する能力、殺虫剤への耐性の強さなどから、生産者にとって根強い問題となっている。また、テントウムシの好

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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