クマムシの驚異的なDNA修復能力:医療研究への可能性
サイエンス出版部 発行書籍
放射線を浴びても壊れたDNAを迅速に修復することができる微小な「クマムシ」は、なぜそんなに強いのでしょうか...? 数年前、分子生物学者のアンヌ・デ・シアン博士(Anne De Cian, PhD)は、パリの自宅の庭で子供たちに動物界の不思議を紹介するために苔を集めました。苔を水に浸して顕微鏡で観察させると、奇妙な八本足の生物が苔の上を這い回る姿に子供たちは驚きました。博士もこの小さな生物、クマムシに興味を持ち続け、フランス国立自然史博物館の研究室に持ち帰り、ガンマ線を浴びせました。この放射線は人間を殺すのに十分な量の数百倍でしたが、クマムシは何事もなかったかのように生き続けました。 科学者たちは長い間、クマムシが放射線に対して驚異的な耐性を持っていることを知っていましたが、ようやくその生存の秘密が明らかになり始めました。4月12日に発表された研究や今年初めの研究によれば、クマムシは分子修復の達人であり、壊れたDNAを迅速に再構築できることが示されています。 1776年、イタリアの博物学者ラッツァーロ・スパランツァーニ(Lazzaro Spallanzani)は、クマムシが完全に乾燥した状態から水を一滴加えることで蘇生することを記述しました。次の数十年間で、クマムシが圧力、極低温、さらには宇宙空間にも耐えられることが明らかになりました。1963年には、フランスの研究チームがクマムシが大量のX線にも耐えられることを発見しました。最近の研究では、一部のクマムシ種が人間を殺すのに必要な放射線量の1400倍に耐えられることが示されています。 放射線はDNAの鎖を切断するため致命的です。高エネルギーの放射線がDNA分子に当たると直接的な損傷を引き起こすだけでなく、細胞内の他の分子と衝突して間接的な損傷も引き起こします。この変異した分子がDNAを攻撃することもあります。
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