線虫の祖先か?南オーストラリアで発見された最古の脱皮動物「Uncus」。

線虫の祖先か?南オーストラリアで発見された最古の脱皮動物「Uncus」。

サイエンス出版部 発行書籍

最古の「脱皮動物」を発見──プレカンブリア時代からの生き証人 カリフォルニア大学リバーサイド校(UC Riverside)の研究チームが、これまで知られている中で最も古い「脱皮動物(Ecdysozoa)」を発見した。発見された新種はUncus dzaugisi(アンクス・ザウギシ)と命名され、プレカンブリア時代(エディアカラ紀)に生息していたことが確認された。これは、脱皮動物の起源に関する長年の謎を解き明かす重要な発見となる。 この研究成果は、2024年11月18日に学術誌Current Biologyに掲載され、論文タイトルは「An Ediacaran Bilaterian with an Ecdysozoan Affinity from South Australia(南オーストラリアにおけるエディアカラ紀の二側対称動物:脱皮動物との関連)」である。 研究の背景:脱皮動物とは? 脱皮動物(Ecdysozoa)は、地球上で最も多様な動物群であり、昆虫、クモ、甲殻類、線形動物(線虫)などが含まれる。このグループの特徴はクチクラ(外骨格)を持ち、定期的に脱皮することだ。 これまでの化石記録によると、脱皮動物はカンブリア紀(約5億4000万年前)の初期にすでに多様化していたことが知られている。しかし、その前の時代であるエディアカラ紀(約6億3500万年前〜5億3800万年前)にこのグループの祖先が存在していた証拠は発見されていなかった。 カリフォルニア大学リバーサイド校のメアリー・ドローザー博士(Mary Droser, PhD)は、「分子データに基づく研究では、脱皮動物の起源はカンブリア紀よりも古いと予測されていましたが、化石記録でそれを裏付ける証拠が見つかっていませんでした。今回の発見は、この長年のギャップを埋める重要なものです」と述べている。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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